第75話

ナイトウォークもいよいよ

佳境に入ってきた


最も夜を嫌う男 反仏と

最も夜に愛された女 築野目の

ペアが始動する




築野目

「ねぇ カナタくん、

    ・・・カナタくんて

    なんでそんなに怖がりなの?」


反仏

「わぁっ!!! 

   急に話かけるなよー・・・

   びっくりしたー!!!



   ・・・あぁ〜  その話ね、


   ウチは実家がお寺でさ、

   家の周りにフツーに墓とかあるわけ」



築野目

「逆に慣れちゃって

    怖いのに強くなりそうだけどね?」


反仏

「それがさ、

   4月くらいから急に変なモノが

   見えるようになったんだよな・・・


   落ち武者みたいなヤツとか、

   背の高~いヤツとか・・・


   ホント急にだよ・・・

   やんなっちゃうぜ まったく・・・


   それ以来、

   ちょっとしたことでビビるように

   なったんだよ・・・


   変だよな…? 俺…」



築野目

「(あ・・・ 

    めっちゃ心当たり

    あるんですけど・・・


    ”落ち武者源五郎ゲンゴロウくん”と、

    ”十一尺三寸じゅういっしゃくさんすん 雅美ちゃん”

    とか・・・


    想い人の近くに現れて 

    ただただ じっと見つめるだけの

    無害な呪具なんだけど・・・)


   ・・・そうだったんだ・・・


   なんか "責任" 感じちゃうなぁ…」



反仏

「なんでツノノメが責任感じんの?


          関係なくね?」



築野目

「いやいや、こっちの話・・・


    (そっか、

    カナタくんってお寺の子

    だったんだ、そーいえば…


    私が惹かれるわけよね、

    それは・・・)」



反仏

「・・・なぁ、

   いよいよ例の吊り橋なんだけど…

   もう帰ろうぜ???

   

   無理だよ もうさ…」




ここで、築野目が何かを感じ取った




築野目

「カナタくん、

    今何か聞こえた??」



反仏

「イヤ、マジでやめろって!

   そーいうの!


   さっきの話、聞いてたよな? 


   ダメなんだよ それ系さ!」



築野目

「大丈夫、

   これは霊的なものではなさそうよ?


   っていうか、

   聞き覚えのある声だった

   ような・・・」



反仏

「つーか…

   ここの吊り橋って

   なんでこんなに真緑なんだよ?


   不気味すぎねー??」



築野目

「景観を損ねないように、

   色が指定されてる

   っていってたよ?先生が


    理事長の指示で…」





「うう・・・ううう」




反仏

「ホラぁ!!! 

   でたあああああ!!!!」



高速できびすを返して逃げ出そうとした

カナタに対し

手を握って制止する築野目




築野目

「まって! 

    これ、フツーの人間よ??




    人間っていうか・・・」






反仏

「え??? 





   キモリン???」





なんと、吊り橋の隙間に挟まって、

胸から上だけ足場から姿を覗かせている

木森林が 瀕死の状態で

こちらを見つめているではないか…!





築野目

「・・・なにしてんの・・・?


    センセ・・・」



木森林

「うう・・・出して・・・」





――――――――――――――――――――…





吊り橋から転落しそうな木森林を

救い出した築野目と反仏


スタート地点に戻って

状況を伺ったところ・・・




木森林

「いやー、まいったまいった!


   脅かし役でお堂に向かう途中、

   急につり橋で足をとられて、

   板と板の隙間にズボっとはまった


   …と思ったら


   胸が圧迫されて声は出ないし、

   通りがかった人の足をつかんでも 

   みんな振り払って逃げてくし・・・


   イヤ〜でもツノノメとソリボトケが

   気づいてくれて助かったわ~!」



天窓

「先生、その緑のジャージ・・・


   橋の色と同化してたから

   誰にも気づかれなかったんじゃ

   ないんですか?」



木森林

「おお!言われてみればそうだな?

    さっすが学級委員!

    こりゃ一本とられたわ! 

    はっはっは!!」



産毛屋

「もー、カンベンしてよね~ 

    キモリん!

    絶対何かいるって思ったじゃーん」



凛令

「ん・・・ 

   でも何で橋で足を取られたの?

   そんなおっきな穴、あったの?」



木森林

「そーいや、何かこう・・・

    ガッ!! とつかまれた感触が

    あったような・・・」



ジャージをめくってスネのあたりを

確認する木森林・・・




宇佐美

「センセー、

    その手形 ・・・


    …なぁに???」





木森林

「ぎゃああああああ!!! 

  なんじゃぁこりゃあああああ

  あああああ!!!!」



バタっ…



産毛屋

「あ、気絶した」

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