第37話

かれこれ2時間ほど居た

”キャッチ安堵リリース”


ようやく店から解放され 

再び映画館に向かったものの、

脳内には懊悩おうのう巡り

悶々とした状態だ



射沙波

「(ぬおおおおお・・・!!!!


     俺のファーストキッスが・・・ 

     まさかまさか…



     恋羽ちゃんではなく、

     モエカだとぅぅ!!?


     急過ぎて頭が追いつかんし・・・


     なんか気まずいし・・・!!


     どう接したら

     いいものか・・・!!!)」





織原

「(ううう~~~~~!!!

    何が起きてるのか・・・

    まだ整理できないんだけどーー

    ーー!!!


    アタシの初めての 唇・・・


    今日 よりによって 

    今日、コイツと???


    ・・・コイツ?


    ・・・コイツじゃなくって、

    ユラ・・・


    って 

    何意識しちゃってんのアタシ…!!


    ってゆーか、

    超ドキドキしちゃってるじゃん…


    どーしてくれんのよ~~

    ~〜・・・)」



お互い 顔を見合わせることもなく

言葉を交わすこともなく 

気まずさとモヤモヤを引きずったまま

再び映画館へ…




「「あ、あのさ・・・!」」




考えていることは同じのようだ


なんとかこの気まずさを払おうと、

同じタイミングで話を切り出した結果、

お互いが心の中を見透かされてしまった

ような感じになって、

結局、余計に気まずさが際立つ結果に…





射沙波

「あ、どうした?」




織原

「イヤ、アンタこそ 何…??」




射沙波

「お、おぅ・・・ 

    飲み物、コーラでいいか? 

    クレープは?」



織原

「あ、うん・・・ 

   チョコチップバナナにする…


  (あれ・・・ユラって 

   こんな優しい感じだったっけ…??



   もう・・・

   意識しちゃうじゃん・・・!!



   映画とか、

   たぶんアタマに入ってこない

   かも・・・)」




・・・・・・・・・・





「”雪兎ゆきとの大好きなミルクレープちゃん” 

 まもなく開場いたしまーす」



"ミルクレープ"という単語に 

内心、過剰反応してしまう…



射沙波

「(ミルクレープ・・・!!!)」



織原

「(いやん! 

   思い出しちゃうじゃない!!)」



射沙波

「お、おい そっちじゃなくて 

    シアターは8だぜ?

         逆! 逆!」



人ごみに消えそうなモエカの手を

ぐいっ!と引く




織原

「(!! 

     ・・・ 手??)」



射沙波

「おっと ワリぃ、

    力 強かったか?」




ドキドキドキドキ!




織原

「ううん・・・ そんなことないよ


   (不意打ちで手つなぎとか・・・


    ユラ、

    そんな自然体でやらないでよ~~

    

    もう 

    ドキドキ止まって~~!!)」






「はやくはやくー、こっちだよ~~!」




ドカドカドカドカ!!




曲がり角から、大勢の中学生が押し寄せ

イザナミの目の前を勢いよく通過する




射沙波

「うおっと! 

    あっぶねーな 

    こ~の中坊どもが~!」




急に立ち止まったため、

モエカはイザナミの背中に

ボフっ とうずもれてしまった




織原

「(キャーーー、 

   ハプニング連チャン~~~!!


   今日のアタシ・・・

   絶対におかしい・・・!!

   動揺し過ぎよ・・・!!


   しっかりして? 

   冷静に冷静に・・・)」




射沙波

「ワリ・・・ 

    急に立ち止まっちまって


    ・・・痛かったか?」




二人分のコーラとクレープが

乗っかったトレーを片手で持ったまま、

もう一方の手でモエカの肩を掴んで

走ってくる中学生から守るイザナミの図…




ボッ!!

っと、顔に火が付き体温が急上昇!





恥ずかしさメーターはリミッターを

振り切ってしまい

両手で必死に顔を隠すモエカの図…




織原

「(ユラ・・・ 

   どーしてフツーに

   そゆことするかなぁ!?


   もう当分 カオ見れないよぉ…)」

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