第18話

5月病とは鬱陶うっとうしいものだ。


意欲は下がるし、

何事にも億劫おっくうになってしまう。


だが、恋をしている場合は違う。


5月病の病原体が胸の中で

焼け切れてしまうからだ。


恋羽に出会って早1カ月半。

イザナミは花学の楽しさを満喫していた…





姫崎

1-6オマエラは仲いぃよな?

 

   1-1ウチはみんなケッコー

   バッチバチだからさぁ


   プライド高いヤツ多いし…」



射沙波

「つーか、

   アッチの方はどーなんだよ?

   好きなヒトの一人や二人

    いるんだろ?」



姫崎

「ぶっ!


  ・・・ジュース吹いちまったじゃ

  ねーか!


  急に話題変えんなよ ったく…」




背後から自転車の音が徐々に近づいてくる



キキィーーっ!



二人の横につけると 

自転車から降りて口を開く



織原

「ういーっす!

   今日もマジメに登校してんじゃん!」



射沙波

「俺はハンパがライなんだよ!

    高校はちゃんと卒業するって

    決めてんのっ」



織原

「まぁ よーく覚えとくわよ


   1年後も同じこと言ってると

   信じてるからね?」



姫崎

「モエちゃん、オハヨ」



織原

「オハヨ、ヒメサキくん


   毎日 コイツの相手、ゴクローサマ!」



射沙波

「っちいち ヨケーなんだよ!

    オメーはよ!」



織原

「!?


   ・・・チョット 

   あれ、なんかユラのこと見てない?」



前方を見ると、明らかに雰囲気の強い

学ラン姿の2人組が睨みを効かせている


道行く高校生たちは恐る恐る

2人組の脇を避けるように横切って…



射沙波

「あァん?  

    なーんか穏やかじゃないねぇ…」


姫崎

「あー・・・ 

   ”笛高フエコー”の制服だぜ 

   あれ」




私立・朽笛くちぶえ高校  

通称”笛高フエコー” 


戦闘偏差値80のヤンキー高で、

現代の男塾と言われている

悪名高い高校である


校舎内を特殊警備隊が駆けずり回るわ


教卓には2日に1回は汚物が鎮座してるわで


とにかくはちゃめちゃでバイオレンスな

ハイスクールで有名だ




花学とは駅を挟んで正反対に位置するため、

そうそう通学中に出くわすことは

ないのだが・・・





学ランA

「蒼い目…

    忘れもしねえ…


    なぁ イザナミよ・・・?」



学ランB

「間違いねぇ、

    南中のイザナミと、

    ヒメサキだぜ…」

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