第8話

「スミマセン・・・ 

 遅くなりました」



一連の自己紹介がおわったとき、

教室に一人の天使が舞い降りた



木森林

「おぉ、意外と早かったな!

    君はそこ、一番前ね?

    座って座って!」



「はい…」



木森林

「病院で遅れちゃったけど、

    彼女が出席番号1番ね


    ・・・来て早々に申し訳ないけど、


    簡単に自己紹介できる?」



「あ・・・ハイ」



イザナミは ただただ 目を丸くして 

その子の動きを目で追っていた・・・




淡空

淡空あわぞら 恋羽こはね です


   北中出身で、

   中学の時にテニスをしてました


   ・・・よろしくお願いします」



目の前に座る天使から後光がさしていた




射沙波

「(あわぞら ・・・ こはね


    ・・・ ちゃん・・・) 」




黒目の少女


淡空あわぞら 恋羽こはね


3/16生まれ

大人しい系女子





イザナミの胸は 

見えない何かに支配されていた



脳裏に浮かぶ、入学式での理事長の言葉…



まるで胸に矢でも突き刺さっているのでは

ないかと疑いたくなる


…目に見えたらどんなにいいことか…







こうして

クラスの初顔合わせが無事に終了した




木森林

「じゃぁ、

    このプリント後ろに

    回してくれるかー?」



前列の生徒に順番にプリントを渡す木森林




恋羽が少し後ろを振り向いて 

射沙波にプリントを渡す



射沙波

「あ・・・ ドモ・・・」




彼女の目を見ながらプリントを

受け取ったからか、

手元がおろそかになり、

イザナミの指が彼女の体温を感じた




恋羽

「 …ぁっ…」



射沙波「あ、 ゴメ・・・!!」




中学までは、魔法の基礎として

教科書と参考書ばかりを勉強させられてきた


いくらセンセーがお手本を見せても、

魔法というモノは目には見えないので


ケッコー懐疑的だった



だが…


イザナミは今、魔法というものの存在を

信じざるを得ない… と、


全身で感じ、納得感ナットクカンを得ている



これが噂に聞く、

恋の魔法ってやつか…と




彼の世界は今 

確実に変わろうとしていた






ドックン… ドックン… 







一法師

「  (プリント、まだかな・・・?)  」








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