第21話 発情期と絆


「ハァハァ、リヒト様ぁーーーあっあっあんハァハァ」


家に戻ったら奥からアリスの悩ましい声が聞こえてきた。


どうしたらいい物か……メリッサに小声で相談してみた。


「これは一体……」


「これは発情期ですわね。リヒト様、避妊紋も終わった事ですし、お相手してあげた方が良いですわ」


「発情期?」


「獣人は獣に近いから発情期があるのですわ。 確か犬の獣人の場合は時期は決まってなく半年に1度2週間位と聞いた事がありますわね」


「随分詳しいんだな」


「元貴族ですから、色々と勉強しましたからその名残りの知識ですわ……まぁうろ覚えですが……」


「それじゃ、それ以外は」


「普段からの性欲ならありますよ? ただ、その期間は更に性欲が高まるだけですわ……今迄ずうっとそういう経験も無く、外で暮らしていたから自分で慰める事も出来なかった筈ですわ……家が決まってようやく自分で慰められる環境が出来て、たかぶったのかも知れませんわね」


そういう物か。


この状況ならやはり相手してあげた方が良いんだよな。


実際の年齢は23歳。


この世界だけじゃ無くて前の世界でも成人……セーフだ。


だが、見た目は完全に背が低く子供。


良くて中学生くらい。


下手したら小学生に見えなくもない。


絵面的には不味く無いか?


俺は……一応、ロリコンじゃない。


アリスは確かに可愛いが……見た目で言うなら、あと7歳位は欲しい。


それを抱いてしまって良いのか?


この世界では俺は15歳の少年だが、中身は42歳のオッサンだ。


そんな奴がこんな幼く見える女の子を抱いて良いのか?


俺が勤めていた学校の生徒以下に見えるのに……『犯罪』そんな考えが頭に浮かんだ。


「なんか、自分からするのは不味いような……」


「リヒト様……アリスは大人ですわ! 子供扱いは傷つくと思いますわ! それに自分からしたく無いなら裸で部屋に入るだけで充分ですわ! 発情期の雌犬なんですから自分から腰を振ってきますわよ」


雌犬は酷い言い方だが......間違ってない。


「そうか……そうだな」


発情期じゃ仕方ないよな。


◆◆◆


俺は意を決してアリスの部屋のドアを開けた。


ノックをするのは無粋だよな。


「リヒト様ぁーー嘘っっ!」


一瞬、アリスの顔が青ざめたが、俺が裸でいるのを確認すると頬を赤らめた。


「嬉しい……リヒト様ぁ、ようやく……ようやくアリスを抱いてくれる気になったのですね……ハァハァ」


そう言いながらアリスが近づいてきた。


「え~とアリス、アリスさん……」


アリスの目が据わっている。


それに口からは涎がぽたぽたと垂れている。


「リヒト様ぁ、アリスに任せて下さいね! すぐに気持ち良くしてあげますからぁ~ハァハァ」


そう言うと俺はアリスに抱きかかえられベッドに運ばれた。


小さいけど獣人なんだな……俺を簡単に抱きあげるんだから


俺はそのまま、ベッドに放り投げられた。


なかなか荒々しい……


このまま、アリスのしたいようにさせた方が良いな。


話しをするのは、落ち着いて賢者タイムにでもなってからの方が良いかも知れない。


「アリス……好きにして良いよ」


「うん、リヒト様ぁーーっ! リヒト様は本当にアリスが好きなんですね? こんなに大きくしちゃって……もう仕方ないですね! アリスがすぐに気持ち良くしてあげますよぉ……あっ、ああっ……少し痛いですけど大丈夫……ハァハァ」


アリスはいきなり跨って来て躊躇なく受け入れた。


俺が抱くのではなく、俺がアリスに抱かれているみたいだ。


しかし、本当に大丈夫なのか……


「アリス……」


「リヒト様は本当にアリスが好きなんですね……こんなに大きくして、もう本当に仕方ないですね」


今、思いだしたが、アリスは避妊紋の事を知らない。


その状態なのに……初めての筈なのに躊躇なく俺を受け入れた。


どうしてだ……


「アリス……妊娠したらどうするんだ?」


勿論、避妊紋を刻んだんだから妊娠はしない。


だが、アリスはそれを知らない。


「リヒト様との赤ちゃん……ちゃんとアリスが産んであげるから気にしないで良いんだもん……だから、リヒト様はそんな事気にしないで思いっきりアリスで気持ち良くなって……ハァハァうんぐ」


入れた状態でアリスがキスをし舌を入れて来た。


家族で言うなら妹、もしくは娘みたいに半分思っていたアリスにそう言われ……心の中で『アリスに子供を産んで貰いたくないな』そんな考えが思い浮かんだ。


だが……俺の首に手をまわし俺を執拗に求めるアリスを見て、少し反省した。


俺とアリスは血が繋がっていない。


今のアリスは泣いている。


悲しくて泣いているんじゃ無く微笑みながら泣いている。


「リヒト様ぁハァハァ、気持ち良いですか?」


「ああっ……」


これは悲しいんじゃ無くて喜んでいる涙だ。


アリスは奴隷になった時、凄く喜んでいた。


だから、これもアリスにとって『絆』の一つなのかも知れない。


幾ら綺麗ごとを並べても、本当の妹や娘じゃない。


赤の他人が本当に結ばれるには、これは必要な行為だったのかも知れない。


今の俺の体を貪るようなアリスを見てそう思った。



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