第15話 せ、先輩は……経験あるんすよね?

「…………」


 今、先輩がお風呂に入ってるっす……ウチはベッドの上でタオルを身体に巻いて正座待機。別に先輩に言われたら正座してるワケじゃないっすよ。

 日本人の血が……これから起こる修羅場に対して覚悟を決める際に自然と取る姿勢が正座っす。昔は斬首される時も正座だったらしいし。

 色々とぐるぐる考えていたら、浴室の扉が開いて先輩が出て来る。


「まぁ……お前が緊張する気持ちも分からんでもない」

「せ、先輩は……経験あるんすよね?」

「まぁな。だから――」


 先輩が顔を近づけて来て、心臓が口から出そうになる程にドキドキし始める。


「少し落ち着け」

「あ……は、はい……」






 先輩はゆっくり首筋にキスをすると、それだけで背筋をなぞった様な感覚がゾクゾクとつま先まで流れる。


「ベッドの上でも正座は足は痺れるだろ? 倒すぞ」

「ふぁい……」


 この時、ウチの頭の中に理性は殆ど残ってなかった。ただ、心地の良い微睡みに包まれて、ベッドの上に仰向けに。そして、先輩が身体を包むタオルを取る。


「意外と着痩せするタイプか?」

「そう……なんすかね?」


 走る事を日常にしているからか、あまりそう言うのを意識したことは無い。ぽーっと呆けていると、胸に触れられビクッとなった。


「せ、先輩っ、それ……乳首――」

「なんだ? 自分でやったりはしないのか?」

「や、やらないっすよ! 家族居るし! ひゃあ!?」


 乳首にキスされるように吸われ、知らない感覚に思わず変な声が出る。


「じゃあ、溜まったらどうしてんだ?」

「は、走れば全部っ無くなるっすっ」


 ウチの胸をいじりながら先輩は質問してくる。明らかに反応を楽しんでいるのが分かるけど、快楽の波にそれどころではない。


「はぁ……はぁ……」


 ウチの息が上がる様子に先輩は一度離れた。ここまで短時間で息切れを起こすなんて初めてだ。まずは呼吸を整えないと……顔もたぶん真っ赤。見られると恥ずか――


「!!?? 先輩っ!! そこ……違っ」


 次に先輩はウチの両足をすっと開いて秘所を舐め始めた。


「先輩っ……これ……やばいっ……す……ひっ!? し、舌ぁ!? 入ってるっ……入ってるっす!!」


 思わず股に顔をうずめる先輩の頭を押し返そうと手をするも、次々に来る快楽の電気信号に上手く力が入らない。

 すると、身体の奥――――お腹からゾクゾクと浮き上がるような感覚が湧き出て来る。


「先輩! はなっ……離してっ!! 何か……何か来るから! ホントにあぁぁぁああああ!!」


 お腹からのゾクゾクが脳にビリビリとした信号と身動きできない程の痺れが身体を強くこわばらせた。思考も身体も、どう表現して良いのか分からない程の“ソレ”を受け入れる選択しか取れない。

 同時に本来は我慢するべき小尿も少し噴出した。


「あっ……はぁ! はぁ! はっ! はっ……はっ……」

「たぶん、感度高いぞ。お前」

「はぁ……はぁ……そ、そうっすか……」


 冷静な先輩の声で思考が少しだけ戻って来た。一日中走ってもここまでは息は上がらないのに……


「キツイなら少し休むか?」

「す、少しだけ……」






「…………それ大きさ的にどんくらいなんすか?」

「さぁわからん。デカイとか小さいとか言われたことないからな」


 思わず目の前にそそる先輩のモノに視線が行く。避妊具をつけたソレがこれからウチの秘所からナカに……

 舐められただけでも視界が白黒するほどの快楽だった言うのに、アレがナカに入ったらどれだけの――――


「力を抜けよ」

「う、うっす!」


 ギシッとベッドがきしむ音と共に先輩がウチに重なる様にモノを秘所に近づける。入り口に先端が当たる感覚。そして……先輩のモノがウチの中に入って――


「い、入り口ぃ……ひ、広げられてるっ……うぐっん゛ん゛」


 な、なっなっなっ……


「いれるぞ」

「へ、へぇ? まだ入って――――」


 体の中の閉じた部分を無理やりこじ開ける様な感覚が中心を貫いて、内部に異物感と――――


「はっ、はぁはぁ……お、思ったより……大丈夫……じゃない゛い゛い゛い゛!!」


 今までに感じた事の無い痛みに身体が仰け反った。内側から発生するこの痛みに対する対策はこれまでの記憶をどれだけ遡っても出て来ない。

 それほどの異次元の痛みと、どうしようもないと思える苦痛に対して歯を食いしばって涙目で先輩にしがみつくしか出来る事が無かった。


「右代宮……ちょっとお前……締めすぎだ……」

「わ、わかんないっ……ど、どうしていいのかっ……」


 目がちかちかする。お腹に意識を向けたくないが、痛みがそこから来る事からも意思せざる得ない。そして、先輩が我慢している顔が目の前にあったから――


「――――」

右代うしろみ―――」


 逃げる様に先輩の顔を引き寄せてキスをした。下半身の痛みを何とかする為に、別の事で意識を紛らわせたかった。

 とにかく痛みから逃げたくて舌も入れると、先輩もそれに応える様に舌を入れ返して来る。

 思考がゆっくりと痛みから快楽へ溶けて行く……


「っはぁ……っはぁ……」

「はぁ……はぁ……息継ぎさせろ……殺す気か……」


 快楽により先輩の頭を拘束する腕から力が抜けてキスが離れる。銀の糸がまだウチと先輩を繋いでいた。


「……下は大丈夫か?」

「……は、はいっす……」


 まだ下腹部にはじんわりとした痛みがあるが、快楽と混ざったからか先程よりはだいぶマシになっていた。


「それじゃ、動くぞ」

「う、う、うっす!」


 先輩がゆっくりと後ろに引くと、それに合わせて内側を引っ張られ――


「ひ、ひひゃあぁ!!? せ、先輩! 待って待って! 内側、張り付いてっ! 捲れて引っ張られてるからぁぁ!!」


 先輩が引く動きをピタリと止める。

 しばらく、先輩のモノを受け入れていたからか。ウチのナカは先輩のモノと一体化したようにガッチリと絞めていたみたいで、ソレを引き抜くと全部持っていかれそうに――ひぐっ!!?


「あ……おおお……奥……」


 溜飲に浸っていると先輩がモノを勢いよくナカへ押し込んで来た。ナカの行き止まりまで深々と届いた感覚に一瞬言葉と呼吸を失う。


「……右代宮。オレもそろそろ我慢の限界だ。一回、全部ヤルぞ」


 余裕の無い先輩の顔が、今はウチに没頭してくれている様に感じて……それが嬉しくて――


「は、はいっ……す……」


 何とか絞り出した返事が合図となり、先輩の動きは力強さを増す。

 ウチはとにかく先輩にしがみつく様にその動きに身を委ねる。何かを考える事なんて出来ない。

 求められていると言う感覚に思考を染められながら、息を吸う事に集中する事だけが自分に出来る事だった。

 何度も“突き”と“引き”を受け入れて、体位を変えつつ続き、違う感覚にナカを削られていると、いつの間にか痛みは消えている事に気がついた。


「せんっぱいっ……」


 絶頂の予兆がゾクゾクと下腹部から沸き上がる。だが、今回はウチ一人だけの感覚じゃない。

 身体の中で繋がるモノを通して、先輩も限界が近い事をどことなく感じられた。


「右代……宮……」

「せん……ぱい……」


 身体が動かないくてもキスが欲しくて腕を持ち上げると、先輩は応える様に唇を重ねてくれた。

 頭と身体がぐちゃぐちゃに混ざりあっても……この瞬間だけは先輩の感情と気持ちが――


「~~~~~~!!!」

「っ!!」


 絶頂を迎えると同時に、ナカに先輩の意志が強く……流れ込んでくる――

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