第10話全部盛りだ!

「はぁ!?消えた!?」


「すいやせん!目を一瞬離した隙に」


ここは最前線、またの名を死の境界


この場所に草木は生えず、何百回もの爆撃で地面はデコボコしており


大量の塹壕と鉄条網で、進行は難しく


地獄の様な光景が広がっている




「・・・いなかったことにして、いつも通り作業しよう」


「分かりました。部隊の者達に伝えておきやす」


私の部隊の仕事は塹壕を広げるのと、有刺鉄線の張替えだ


「安全性は高いんだがな、、逃げるなんて」


「隊長!英雄です!!この前の英雄がまた現れました!!」


「撤退!あいつがいる間は作業出来ない!」


急いでその場から離れる。あの英雄は私の部隊と相性が悪すぎる




「新兵はどうしましょう?」


「ほっとけ!逃げた奴を探すほど!暇ではない!」


戦場から撤退する






「行ったか」


俺だ。西園寺拓哉だ


今は戦場でヒロインをボコボコにする為に、戦場に残っている


「練度がまだ低いね。俺でも逃げ切れるよ」


元々この場所は足音が出にくい。それに加え、銃撃音がずっと鳴っているからな


逃げやすい




「さてさて、英雄はどこかな?」


塹壕から少しだけ顔を出し、ヒロインこと英雄を探す


「いた。分かりやすいな」


ヒロインはバチバチと帯電している




「・・・あれ?なんかあいつおかしくね?」


なにがおかしいか、これを説明するには前提知識として改造タイプについて説明する必要がある




【改造タイプ攻】


力が強くなる改造タイプだ。体格は多少はデカくなる


力は筋トレ5か月目の人と、10か月目の人ぐらいの差がある




【改造タイプ防】


しぶとくなる改造タイプだ。体格が大きくデカくなり、再生力が急激に上昇する


一か月の怪我が、3週間で治るようになる




【改造タイプ俊】


足が速くなる改造タイプだ。体格は特に変わらない


スタミナが増強され、足の筋力が上昇する


50キロで走れるのが、55キロで走れるようになるぐらいに強化される




それでだ。ゲームでは最初にこの3種類から改造タイプを選び


それに合わせてヒロインこと英雄のタイプも変わる


俺は今回選べなかった




【改造タイプ攻】を選ぶと、相手は防御タイプになる。バチバチに帯電するぞ


【改造タイプ防】を選ぶと、ヒロインは炎を出すようになる


【改造タイプ俊】を選ぶと、ヒロインは水を出すようになる




これが俺の前提知識だったんだが


「火も出してるし、水も出してるし、帯電もしてるな」


ヒロインは火炎放射のように、火を出し


ヒロインは高圧洗浄機並みの威力の水を出し


常時帯電している為、攻撃することすら困難だ




「おっかしいな、、全部乗せじゃね?」


「面白そうだったからな」


背後から神の声がし、急いで振り返るが


誰もいない




「・・・嫌がらせか?いや、神の言動的に、、、鬼畜なゲーム好きなタイプか?」


そんなことを考えていると


「・・近づいて来てるな」


重い足音が聞こえてくる




改造タイプは体格がデカくなるからか、足音が数段デカくなる


「・・・」


ちょうどいい大きさの石を数個ほど拾い


初期配布のポーチの中に入れる




「さてやるか」

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