エクシステンツィア

アポリア

俺はニコニコ生放送で配信者をしている。

俺の最終学歴は○○である。しかし馬鹿な信者は俺を高学歴だと思っており、逆に俺らを叩くことしか脳がない奴らは低学歴だと思っている。

あえてここでは真実を隠す。

信者たちは配信によって鎖に繋がれ、影しか見ることが出来ない洞窟にいる。アンチは太陽のように万物を照らして暗部も見えている。

そして俺はその線分を上手く調節してファンとアンチにはヒントを与えないようにしている。

かつて配信仲間と揉めてしまって絶縁してしまったことがある。これは俺の勘違いが原因だった。

「公式MC」を「共演NG」と読んだのだ。

今となればあれで良かったと思う。

とはいえあの時は怒り、憎しみ、悲しみなどの非常に強い負の感情が行動のコントロールを破綻させた。

しかも個人的な喧嘩ならまだしも視聴者もいる。視聴者の前で俺は絶縁を宣言した。

当事者間だけでなく、周囲の人間にも心配をかけた。配信仲間や先輩たちが関係の修復の機会を作ってくれたのだ。しかし、もはやその意欲すら喪失していた。人は単純な言語だけじゃ測れない非言語的な感情があることを理解しろ。正論だけしか言わないやつはとにかく節穴で問題を理解していない。

数年経った今の俺は時間経過によって過去の関係性や感情に新たな視点が加えられるようになった。

勘違いだったとはいえ、あの時の俺は本当に気が動転するほど色々な感情が混ざりあった。

喜怒哀楽と4つの感情だけじゃ言い表せられない様々な感情が湧いて出た。

愛情、感謝、焦燥、興奮、羞恥、驚き、孤独、憂鬱、落胆などの様々な感情が俺を襲った。

当事者でもない有象無象が俺らを俯瞰して語るな。

そんなこんなで俺には敵が多い。そして何より、信者も多い。

俺は失意のどん底にいた。しかし、俺の事を慕ってくれる後輩や先輩、未だに着いてきてくれる信者がいた。

自分の利益や欲求を優先し、他人の気持ちや状況を考えない、高圧的で上から目線の態度や、他人を見下すような言動、他人の悪口や陰口を言う、約束を守らなかったり、責任ある行動を取らない、相手を尊重せず、敬意を払わない態度、感情の起伏が激しく、怒りや不満をコントロールできない、嘘をついたり、事実を隠したりする、他人の気持ちを理解できず、共感や思いやりの心を示さない、自分の意見や主張を押し通そうとし、他人の意見を聞き入れない態度。

俺が嫌われる理由は思いつく限りでもこれだけ列挙できる。まるで幼稚だった。

俺には最愛の人がいる。やがて俺はこの人と結婚することに決まった。

偕老同穴の契りを交わした新郎新婦はまさに天衣無縫と言うに相応しく、神をも畏れぬアツアツぶりは、たちまち参会者たちを黒焦げにした。

大好きな先輩や後輩や色々な配信仲間が見に来てくれた。幸せだ。

この人の事は一生大切にすると心に誓った。

参会者からの盛大な拍手により、式は閉幕となった。

次回、「アクラシア」

続く…。

この話はフィクションです。でぃすくれーまぁ