第2話 雑魚スライム

釈放されてから2日が経った。


「もう無理、腹減った...

金ない、家ない、魔力ない...

生きていくのがやっとだ...ぜ...」


「ったく、まぁた兄ちゃん死にかけてんな。

ほれ、今日入荷したばっかのリンゴだ。

食って元気になんな!」


「うぅ...

サラルー様ァ...!!!(泣)」


ここに転生して気づいたことがある。

言語に違いがないのだ。

それだけでもだいぶありがたいのだが、街の人は全員性格がいいのだ。

.....ほんと、助かってます...


「ところでよ、兄ちゃん。

おめぇ、魔力が1しかねぇんだろ?」


「そっすね、1しかない雑魚です。」


「そんな落ち込むなよ。

この街の近くの森に、大量にスライムが湧いているんだとよ。

魔力がねぇってことはおめぇ、レベル1だろ?」


え?何そのレベルってやつ?

聞いた事ないんですけど...?

いや異世界じゃ定番か。


「とにかく、この武器...

えーっと...名前なんつったっけなぁ...?

まぁ忘れたけど古びた剣だ。」


「おお、ありがとう。」


意外と軽い気もするし、なんだか強くなった気分がする。

ただ...ボロボロすぎん?

管理がぜんっっっっっぜん駄目だろこれ。


「スライムは大抵の冒険者にとっちゃただの雑魚だ。

相手をするだけ無駄って感じだ。」


「つまり!他の冒険者はスライムを狩らない!」


「そうだ!

お前にはぴったりなはずだ!

今すぐ行ってこい!!!」


このおっちゃんほんんんんっとに優しいな!

...金持ちになったらあのおっちゃんに酒沢山奢ろ。




━━━━━━━始まりの森━━━━━━━


始まりの森というところにようやく着いた俺はまずはスライムを探すことにした。


今のところ、始まりの森ではスライムやゴブリン、強くてもゴブリンの長くらいしかいないようだ。


「うーん...さすがにこの森広いな。

大量発生しているとはいえ、なかなか見つかりそうにないな...」


スライム狩りをするのはやはり、魔力1から抜け出すことを目的としているが、それだけでなくスライムを倒してお金を稼ぐことも一応目的としているのだ。


せめて1匹は出てきて欲しい。

そう思っていると━━━━━━━━━━━━


「キュキュ?」


目の前にスライムが出てきた。

しかも1匹、雑魚スライムって言われてたしこれはどうやら俺の勝ちのようだ。


「悪いな、雑魚スライム!

お前は俺の糧となり、朽ち果てろぉぉぉ!!!」


「キュゥゥゥゥウウウウウ!!!!」













結果だけ教えよう。

雑魚スライムに負けました、すみません。


あの後、思いっきり剣を振ったが空振り。

地面に思いっきり叩きつけてしまい、その剣は真っ二つに折れてしまったのだ。


俺は必死に弁解し、和解をしようとしたが...

思いっきりタックルされて瀕死になったのである。


「お前...

本当に大丈夫か...?」


「...すみません...」


弱くて...本当に...すみません。

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