第72話

好き…?



ルキが私を…?





「え…ルキ…?」


「真緒を離したくない。

誰にも触らせたくないし、取られたくない…。」


「そ…それは私がこの世界でルキを助けることが出来るただ一人だからじゃ…

血を提供できるから好きなだけじゃ…?」


「違う。

俺は真緒を異性として好きなんだ。」


「はっ!」



ボンッと湯気が出そうになるほど真緒の顔が赤くなる。





こんなに男の人に真っ直ぐ、はっきりと告白されたのは初めてだ。



大学生の時の浮ついた感じのチャラチャラした告白のノリとは全く違う。



これは、ルキの魔法!???


そんなわけないでしょ。



「真緒の全てが好きだ。」



「ルッ…」



ルキの抱きしめる手に力が籠る。


緊張しているのか、手が震えている。




いや…この様子は本気だ…



ルキは本心で言っている


抱きしめる腕から思いが伝わってくる…



本気で言っているんだ…



ルキと私は…




吸血鬼と人間…




そもそも、私達は住む世界も違う



私も!と言えればどんなに良いか…



言葉で言うのは簡単だ



いずれ別れてしまうかも知れない…



それが分かりきっている


この恋には未来がない。




「私は………………」



真緒の瞳から一粒の涙が流れた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る