第63話

中に入ると、豪華な内装の部屋の中心に1人の女が立っていた。



美しい黒髪がゆらゆら揺れている。


女は仁王立ちでルキと真緒を見つめる。


その目線は何もかも見透かすような目だった。




凄い雰囲気!

そこら辺のエセ占い師とは違う…

この人は本物だ。

真緒は直感で感じた。



本物の巫女だ…




こんな人、騙せるかな…

真緒は不安に押しつぶされそうだった。




ルキは笑みを浮かべた。


ルキの様子は変わっていない…


余裕だ。


真緒は巫女の雰囲気に圧倒されている。



「真緒、安心して。

俺が居るから。」


耳元でルキが囁いた。


そうだ、私はひとりじゃない。

ルキと一緒だ。


恐れるな。



「おたくらがこの私に占ってほしいと言う人たちか…」


「はい、亜衣様。

亜衣様の占いは当たるとのことで、亀田さんに紹介してもらいました。」


「ほう…。

何を占って欲しいんだ…?」


「俺たちの未来がうまくいくか…」


「未来ね…ふむ。

いいだろう。

そこに腰掛けるといい。」



亜衣に案内され、ルキと真緒は豪華なソファに座る。



「亀田…プライバシー侵害になる。

席を外せ。」


「はい、亜衣様。」


ヘコヘコと亀田は部屋を出ていく。




「さて、ここからは他言無用だ。

占いに入る。

此処で見たことは外部に漏らすことは禁じられている。」


「勿論です。」



「金は持ってきたか?」


「はい。

このアタッシュケースにぎっしり入っていますよ。」


ルキはいつの間にか手に持っていたアタッシュケースを亜衣の目の前に持っていき、開けた。


そこには札束がぎっしり入っていた。



それを見た亜衣はほくそ笑んだ。



「ふむ…十分だ。

さあ、しかと聞けよ!」



パンッ!!!!



亜衣が手を叩く



すると、真緒の視界がグニャリと歪む。




え…




何これ…



意識が混濁していく。



ルキの姿も歪んでいく…



ルキ…いや…



姿が…見えない…

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