佐藤真緒の日常

第2話

203X年9月10日

この日は、いつもより朝早く出社した。


好きじゃない熱血上司に「おはよう、佐藤さん!」っと大きな声で挨拶をされて、耳の鼓膜に響く。


オフィスでコーヒーを入れて、今日の予定をチェックする。


午前中は課長に頼まれた資料を作成、提出した後は…


手帳を見ると【午後~営業課 柊木敦さんと外回り♪】と書いてあった。


社内で1、2を争う人気者の柊木敦さんと外回り。

人気俳優に似ており、性格も明るく爽やかで嫌味のない真っ直ぐな性格の柊木さん。


自分は幸運だと思った。


ま、同僚の飯田カレンが他のプロジェクトで急遽大阪に行くことになって、今日は飯田カレンの代わりに行んだけどね。


飯田カレンは社内で1、2を争う美人。イタリア人の父と日本人の母の両親を持つハーフだ。


午前中の仕事を終わらせ、近場のカフェでサンドイッチを食べた。


昼休憩後…

自分のデスクで外回りの準備をしているところに柊木さんが企画課に来た。



「佐藤さん準備できた?」


爽やかな登場に、周りの視線が一気に柊木さんに集中する。


「はい、大丈夫です。何時でもいけます。」


「うん。今日はよろしくね。

飯田さんの代わりとはいえ、無理に引き受けてもらったみたいで。」


「気にしないでください!私、外回りが好きですから!」


「おっ!嬉しいこと言ってくれるね。そう言ってもらえると、俺も助かる。じゃ、行こうか。」


「はい!」


会社の外を出ると爽やかな風が頬をなでた。


「良い天気だね。行こうか!」


柊木さんの眩しい笑顔が太陽と重なり、気分も上がった。

気分も上がったおかげで、外回りも順調だった。

外回りが終わり、柊木さんが


「佐藤さんが居てくれたおかげで、今日の外回りは上出来だったよ!ありがとうね。」


お世辞も入っているだろうが、素直に喜ぶことにした。


ーーーーー


退社時刻になる。

帰って、家でプチ贅沢をしようと思い、電車に乗る。

電車に揺られ30分…電車を降りて、駅の近くの飲食店でテイクアウトをした。

今日はイタリアンコースにしてみた。

サラダ

スパゲティ

スープ

が入っている。

家にあるワインも開けて飲もう。


空はすっかり暗くなっていた。








住宅街を歩く。

今日は珍しく誰も歩いていない。


『うーん、あまり街灯がないから不気味』


薄暗い住宅街を歩く。


突如、スマホが鳴る。


スマホをバックから取り出して見ると、同僚の飯田カレンからだった。


今日のお礼と柊木との外回りの事を聞かれた。

ニヤケ顔の絵文字が目立つ。

何を期待しているのか想像はついたが、そういう対象で見てはないので残念と返事をする。


フフッと笑った後、前を見ると、数m先の電柱に男が立っていた。




さっきまで誰も居なかったけど、いつの間に?




怪訝に思い、もう一度男を見た。


電柱の光に照らされた男の顔は端正な顔に肌は雪のように白くて透き通っている。


何よりも瞳が赤く不気味に光っているようだ。


真緒にはその男が得体の知れない者に見えていた。



しかも、腕から血を流している。



え・・・この人血だらけ・・・出血がヤバい!


真緒は少し恐怖を感じた。

絶対関わりたくない!!関わったらヤバい!!



速歩きでその場を通り過ぎようとしたとき



ガッと腕を掴まれた。




腕を掴まれ、恐怖がピークに達する!!


「な!!!なななな…なんで………すか?」


震える声でなんとか声を絞り出す。


「お前の血が欲しい!」


「え?」



平凡な日常が終わりを告げた。

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