84話目

「ああ、これね…

そう、大切な人から貰ったのよ」


大事そうにブレスレットを触る。


「え!?

ちょっと、詳しく教えなさい」


「イヤよ。

早く厨房に戻りなさいよ。

オーダー表、溜まってるじゃない」


チラっと厨房を見ると、オーダー表が何枚かたまっていた。

ちよりはほっぽり出してきたのがバレたと焦る。


「もう」


はあっとため息をつく。


「ごめーん、でも、このピークが過ぎたら聞くわよ!」


キラリと目を光らす。


「はいはい、言ってなさいよ」


シッシと手で払う。

ちよりはイタズラな顔で見てきた。



そんな感じでピークが過ぎて行き…




ひと段落ついた所で、ぼちぼち、閉店準備を進めていると…



「こんばんは!」


「あっ、いらっしゃいませ」


「ユーリン久しぶりだね!」


「莉蘭さん。

お久しぶりです。

暫く見てないから、死んだかと思いました。

生きてたんですね」


「ユーリンは極端だね。

ちゃんと生きてたよ」



「ー…こっち、案内します」


綺麗な立ち姿で、莉蘭を案内する。


「ユーリンの背筋がきちんと伸びてる…

どうしたの⁉︎」


「…ケイさんに言われて…治してみました」


「ユーリン、そっちの方が自信満々の男に見えてカッコいいよ!」


「…褒めても、なんもでないですよ…」


「何も、もらおうとしてないから大丈夫!」


莉蘭は笑顔で言った。


「ー…そ、ですか」


少し傷付いたように莉蘭を見た。

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