第78話
「そう…今は私が充様の力になります…だから…」
「ああ…今はこのままでいさせてくれ」
強く結夏を抱きしめた。
結夏の体温を感じる…
暖かくて
安心できた
有希子さんとは違う感触だったが、受け入れられた
人のぬくもりはこんなにも暖かいものだったのだろうか…
忘れていた…
いつから忘れていた?
もう、それさえも覚えていなかった
「結夏…北條流星に協力している人物が居る」
俺は低いトーンで言った。
「はい、誰ですか?」
結夏は凛とした声ではなく、まるで子供をあやすような声で言う。
「それは、俺の初恋の相手であり、初めて付き合った…胡蝶有希子だ」
「…その女性をどうなさるつもりですか?」
「……北條流星に協力しているのならば、一緒に潰す…」
「初恋のお相手…よろしいのですか…?」
ニコリと結夏は笑う。
「ああ…俺の邪魔をするのならば容赦なく叩きのめすまで…」
「そうですか…畏まりました。
胡蝶有希子も一緒に潰しましょう…
もし、充様が出来なのならば…私がやりましょう」
「………。」
結夏は充の目を見つめて笑う。
「…それでこそ、俺の世話役だな」
…不敵に笑えば、結夏も美しい顔を同じように歪めた。
結夏の裏の顔は何をするかわからない危うくも美しい輝きを放っていた。
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