第69話

深夜ー



大きな木のしたで、それは行われれていた…



ドカッ!バキ!!



「ガハアッ!?」


男は蹴られた衝撃で嘔吐する。



「も、もう、勘弁してください!」



泣きながら懇願する。


「はあ!?

お前、流星さんの役に立たないで、どの口が言ってんだぁ!?」


「ヒイ!わ、私の作戦は完璧だった!」


「はあ!?

生徒会長の座を奪われた時点で、お前の作戦は失敗に終わって…

んだよォ!!」


「わかんねーやつはお仕置きだぁ!」


ギャハハと笑いながら、なお、暴行は続く。



「うわわぁ!」


男の絶叫があたりに響く。



「りゅーせーさーん、この男、どうしやすかぁ?」



しばらくして、暴行を一時止め、顔面が赤黒く腫れた男を指差す。



「あーん…そうだなー…」


わざとらしく考えるフリをする。



「そうだ!

お前たち、この役立たずの変態教師を丸裸にして木に吊るしてやれ!」


「ヒュー、流星さんえげつねー」


ニヤニヤと男たちはイヤらしい顔を浮かべる。



「そ、それだけは、やめてくれ!

私にはまだ、産まれたばかりの子供と妻がいるんだ!」


泣きながら流星に許しを請う。



「…あれだけ金をやったのに、役に立てなかった温溝先生の責任ですよ?」



王子は悪の顔で温溝を見た。



「やれ」


流星の一言で、男たちによって、温溝は身包みを剥がされる。


そして、大きな木に吊るされた男になった。




「流星さん…やることが容赦ないわね」


クスクスと笑いながら赤いリップを付けた女は流星の肩に手を置いた。



「ああ、今回の失敗は温溝のせいです。

次はきっと、貴方の満足の行く結果にしてみせますよ」


「あら、今回は面白いものが見れたからいいのよ…

なんて言ったって、あの充さんに仲間らしき人たちが増えていたのだから…」


「………。」


流星は面白くなさそうに聞く。


「いいこと…私は充さんの…色々な表情がみたいの」


「なぜ、貴方は宝来充に拘るんですか!!?

俺だって、あなたを満足させれますよ!」


「ー…流星さんは全然分かってないわぁ…」


がっかりしたように女に見つめられる。



「あの…純粋な充さんだから面白いのよ…」



女は流星の顔に両手を添えた。




カシャッ!



シャッターを切る。



「北條流星…やることがエグい…

危険人物だね。

充坊っちゃんに報告だ…」


新生手毬は冷や汗を流しながら、決死の写真を撮っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る