第52話

「真田先生!!」



充は大声で叫ぶ。



「あ…充様!?」


結夏は不思議そうに充を見つめる。



ズンズンと結夏とその隣にいる男に近付く。



「充様、どうかしましたか?」


「ちょっと、真田先生にお話があります」



「え?

でも、もう、お昼休みは終わってしまいますが…」


「今すぐ!!

聞きたいことがあるのでこっちに来ていただけますか?」


充は無理やり結夏と男の間に割って入る。



その様子に男はくすっと笑う。



「真田先生、彼に付いて行ってあげたほうが良さそうですよ?」



男は穏やかな笑みを浮かべながら言った。



「しかし…」


「こっちに来て下さい!」


充は結夏の手を無理やり掴む。


「あ、充様!?」


グイッと引っ張り出す。



男と距離が空く。



「いいから来い」


「ちょっと、充様!?」



結夏は充に無理やり引きずられるような形で連れて行かれた。



その様子を男は愉快そうに見ていた。



「まるで子供だな…」


ククッと喉の奥で笑った。

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