第63話

月曜日ー


会社のお昼休憩中。


ななみと須藤は会社の休憩室に座っていた。


「ねえ、須藤さん、聞いて欲しいことがあるんだけど。」


「なになに!?」


深刻な面持ちのななみに、須藤は面白そうに身を乗り出す。


「あのー…ホストって、その、姫とあれはするの?」


「え、アレ?」


意味が分からず、疑問でかえす。


「アレ…エッチ。」


周囲に聞かれないように、小声で言う。


「ブッ!」


須藤はビックリして、飲んでいた飲み物を吐き出しそうになった。


「ちょっと、設楽さん、いきなりなんてこと言うの!?」


「ごめんね!

だって、気になって!」


「あ、まさか、ナツキくんと寝たの?」


キャッと須藤は顔を手で覆う。

どこぞやの生娘のような反応にななみは呆気に取られる。


「…須藤さん、そんなキャラじゃないよね。

一般的なホスト達のことを言ってるの。」


「なんだ、ナツキくんに枕されたのかと思ったのにぃ。」


「枕!?ってなに!!?」


”枕”という言葉に飛びつく。


「え…”枕”知らない?」


「うん、教えて!」


「単純にホストとHするの。

それが、なにかの見返りだったり、アフターの後だったり、パターンは色々じゃない?」


「なっ、なんで、そんなことをするの!?」


「やっぱり、何かのお礼だったり、お願いする前だったり、タワーやったりとか、超大金使ったとかの見返りじゃない?

むしろ、それが目的の姫も居るよねー。」


「えー…どれも当てはまらない…」


「あとは、そのホストの営業方針じゃない?

私はしたことないから分からないな。

彼氏にバレたらヤバいし。」


「ふーん…

私は別にそんな事を望んでなかった。

ただ、初回で行っただけ。」


「あー、初回で”枕”もありえるわよ。」


「え、ナンバーに入ってる人でも?」


「うー…ん…それは分からないな。

まあ、そういう駆け引きをするのもドキドキするよねー。

私とのこの関係は何なの!?って悩むのも良いんじゃない?」


あははーっと須藤は高笑いした。

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