第53話

「えり、お待たせ。」


「あ、真広さん…」


「俺は今から千佳のところに行くことになった。

輪堂が迎えに来るから、それで俺は行く。」


「あ…そうなんですね。」


真広の言葉にズキッと心が痛む気がした


「…それで、えりの迎えは光に頼んだ…

遊園地の駐車場で待ってて欲しいそうだ」


「分かりました!」


えりは悟られないように無理やり笑顔を作った


「…えり、またデートしような。」


慈しむように真広の手はえりの髪を撫でた


「はい。

連絡待ってます。」


「あと、今日のお小遣い。」


10万円を渡された


あ…これも仕事のうちか…


割り切らないと…


「ありがとうございます!」


にこっとえりは愛想笑みを浮かべた


「……。」


真広は無言でえりを見たあと、いつもの冷たい目をしていた


彼は黒天のトップだ


ヘラっとはしていられない


「真広さん、私、行きますね。」


「…ああ。」


真広は冷めた目で返事をした


「じゃあ!」


えりは逃げるように真広から離れた


私の仕事はこんな感じなのかと改めて思い知らされた…

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