Vol.2/デッド・ソウルズ(2)
「ぎゃっ!?」
チンピラの悲鳴に、手を離した。
骨折の痛みに苦しむチンピラを、オレはただ、見ていた。
力を入れた、つもりはなかった。
ちょっと握った、つもりだった。
まじまじと、自分の手を見た。
「ひ、ひいっ!?」
チンピラたちは駆け逃げていった。
手首が折れたヤツも逃げていく。
オレだけがひとり、その場に立ちつくしていた。
※
開けっぱなしのベランダから、雨の音が入りこんでいた。
深夜になって、降りだしてきたようだった。
埼玉の川口にある、オレの部屋だった。
安アパートの一階で、男のひとり暮らしなので当然、といってしまっていいかどうかはわからないが雑然としていた。 ギターにアンプ、CD、アナログ盤等、ほとんどが音楽関連のもので占められていた。
雨音を聞くともなしに聞きながら、考えていた。
わけもわからず殺されてしまい、が、何故かそのあと蘇り、怒りにかられた際には自分でも制御できないほどの怪力の持ち主になってしまっていた。
胸や脇腹などの傷も回復し、痕形も残ってはいない。とてつもない再生能力だった。
ヤツらのひとりが叫んだとおり、オレは化け物になってしまったのか?
携帯を取り、電話帳の画面をひらいた。
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