第2話

帰宅後、すぐにリビングに向かった。


母のいるキッチンへ。


「お母さん!ただいま」

「おかえり雪菜。どうしたのそんなに息切れして」

「ちょっと相談したいことがあるんだ。時間ある?」


母が向かいの椅子へ座った。


「で?相談って何?」

「あのね、こういうオーディションがあるんだけど」


私は、DREAM ISLANDのホームページが表示されたスマホの画面を母に見せた。


「今度、女の子向けにオーディションがあるらしいの。こんなチャンス二度とないと思うし、受けてみたいなって思ってる。 でも、もし受かったら、東京とか韓国とかに行かなきゃいけなくて。そこで合宿をして、そして最終的にメンバーが決められるの。 だから、交通費もかかるし、いろんなお金がかかると思う。 お母さん、私このオーディションに参加したい。でも、お母さんがいいって言ってくれなかったら諦めるよ。覚悟はできてるから。 どう思う?お母さん」



母は、少し沈黙していた。 驚いたような、笑っているような表情で。


「…私は応援するわよ。 あなたがしたいことなら。 お金のことなら心配いらないから。でもその代わり、頑張ってね」


涙が溢れてきた。

「お母さん、ありがとう…」


母にこれだけ感謝した日はない。 ありがとう、お母さん。 絶対合格して、デビューしてみせる。

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