DREAM ISLAND 〜序章〜

ミナ

第1話

雪菜は悩んでいた。 DREAM ISLAND に参加するかどうか。


もし、もし、仮に受かったとして。 東京や韓国に行くお金なんてないし、高校も休まなきゃだし。現実的にムリだ。 そうだよ。私にはムリ。


そう心に念じて、いつものように登校した。


「おはよー!雪菜」 「おはよう〜真希」 真希は幼なじみで私の親友。 真希になら何だって話せるし、なんなら家族より大好き。


真希に、今悩んでいることを話してみようと思った。


「ねえ、真希」

「なにー?」

「DREAM ISLANDって知ってる?オーディションなんだけど」

「あー、知ってるよ。Only1とかのやつでしょ」

「そう、それが今度あるらしくてね、参加してみたいなーって思ってて。真希はどう思う?」

「え!いいじゃん!雪菜なら絶対いけるよ」 「…そうかな? でもお金的にも、もし受かったとしても交通費とか大変そうなんだよね」

「あー、そこは大変だね 1回お母さんに相談してみたら?」


私の家庭は母子家庭だ。 小さい頃に父親を亡くし、それからずっと母が女手1つで私と妹を育ててくれた。 本当に有難いと思っている。 でも、だからこそ言いにくいのだ。


もし東京に行くとなれば、母と妹を置いていってしまうことになるし、決して裕福とは言えないような生活なのに東京に行くお金なんてあるとは思えない。 「うーん、そうだね 一旦相談だけしてみるよ」 真希にそう言ったあと、ちょうどチャイムがなった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る