5、新たな出会い

第40話

いつものように仕事上がりにパチ屋へと寄る。


ここが騒がしくも一人になれる空間だった。


最近は”いちパチ”や”いちスロ”とか言われてるものがあるらしい。


要は金をそんなに使わずに遊べるという代物。



そのシステムが今の俺にうってつけだった。

俺は騒がしい空間でただぼーっとしたいだけ。


楽しみたい訳でもないし、金を増やす目的がある訳でもない。


人がいる空間でひとりになりたいだけなのだから。



何度が大当たりして、もうそろそろ帰ろうかと思った時。


立ち上がる俺にどこからか声がかかる。



「ちょっと待って、もったいない」



そう言って俺の手首をがっしりと掴む女が視界に入る。


綺麗な顔立ちはしているが、いきなりこんな事をされたら”なんだこの女?”と思う以外ない。



「あなたね、いつも確変とりこぼしてるから」


「カクヘンを?――とりこぼす・・・」



今までパチ屋に通った経験がないから、この女が何を言っているのかが分からなかった。

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