1、重ならない気持ち
第2話
二十年前。
世間は2000年を迎えることもあって浮ついていた。
俺が元妻と出会ったのはそんな時期だった。
彼女とは友人が企画した合コンで出会ったのが始まりだった。
まわりの女子はテンションが高くていかにも女の子だなぁと思うけど、彼女は騒ぎ過ぎると相手が驚くからやめなよと冷静にたしなめている落ち着いた人だった。
そういうクールな仕草が凄くかっこいいなって素直に思った。
年下の女の子にそんな事を思うのはおかしいかも知れないけど、第一印象は知的そうだなって印象。
自分で言うのもなんだけど、俺に寄ってくる女性は煩いくらいにはしゃいでいるし、付き合い始めたらこっちの言葉一つで上機嫌になったり不機嫌になったりと何かと大変だった。
だから余計に落ち着きありそうな彼女に惹かれたのかも知れない。
「五条浩紀さん?グラス空きましたね。何か頼みますか?」
俺のことを興味なさそうにしていたのに、こういう気遣いは出来るんだなって感心してしまった。
追われることに慣れていたけど、逆はそのころの自分には経験がなかった。
そんなこともあってか合コンが終わるころにはすっかり惹かれてしまっていた俺。
なんとも簡単な動機だけど、人間恋に落ちる時はこんなものだろう。
彼女はあまり乗り気じゃなかったが、しつこく自分をアピールしてたらその気になってくれた。
そのまま営業仕込みの押しの強さを発揮して、正式に付き合いだしたのは2001年の21世紀の幕開けの年だった。
そこから1年付き合って婚約をし、翌年の2004年に結婚した。
そこから歳月はすぎ、26歳になったおれ。
妻は二つ下だったから24才で、授かった息子はその年2歳になる時のことだった。
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