第35話 ヨミウリ家の大晦日
王国暦245年12月31日 11:30
ヨミウリ王国嫡男アレックス領
(旧マクガフ公爵領)
領都カンサイ
アレックス・ヨミウリ家嫡男
「タイセー創造神様…凄すぎて言葉が出ないんだが…」
「兄上、創造神呼ばわり止めて下さい。」
「と言ってもだなタイセー。これだけの物を見せられて、皆沈黙しているぞ。見ろあのミーナですら、固まってるじゃないか。」
「タイセー様は…神に…なられた…タイセー…神…なた…」
「ええいミーナしっかりしろろ!!」
「は!!タイセー様、美幸さん2週間ぶりです。」
「どうだ兄上の近衛騎士団護衛部隊長の役目は?」
「はいタイセー国王陛下様、学園の冬休みだけの期間限定とはいえ、稽古と領地開発に明け暮れとても充実しております。」
「それは何よりだ。アウトマン男爵の大事な娘だからな、他国である東京王国には連れていけないが、兄上の護衛宜しく頼むぞ。」
「はいこのミーナ。風剣姫の名にかけて精進致します。」
「年明けからまた特Sのクラスメートだ。グリフィン皇太子も編入してくるから楽しみだな。皆で鍛練してもっと強くなるぞ。」
「はいタイセー様。美幸第1王妃様も、今後とも宜しくお願いします。」
「ミーナさん王妃様呼びはいらないです。」
「ミーナそうしろ。クラスメートだ敬称はいらない。」
「…分かりました。ではそうします。」
「ところでタイセー江戸城って言ったか?中を案内して欲しいんだが。」
「兄上。流石に今日は時間が足りません。大晦日一族郎党の集いに嫡男が遅れると、母上の御機嫌がどうなるか……」
「…それは俺も想像したくないな…」
「はい、明日はセリーグ王国宮殿にて諸々調印式もありますので、1/4に城内設備等説明します。」
「分かった。その間は警備兵を交代で100人程置いておくか。」
「いいえそれには及びません。ほいっ」
ブゥワンピカー
「何をしたんだ?」
「光結界です。これで
「そ、そうか……古龍な…古龍…」
「ではオオテマチに行きますよ。」
「ああ頼んだ」
**********
ヨミウリ王国王都オオテマチ
ツインタワー宮殿A棟1Fホール
「ラブリー設備説明会の進捗状況はどうだ?」
「ダーリンお帰りなさい。入退場
「ああ今日はそれでいい。基本的な事を教えて置けば、後はグループ分けして学習して貰おう。」
「アレックス様にミーナ様も一緒じゃなかったのですか?」
美幸
「御二人ともツインタワーに圧倒され、中庭で立ち尽くしてます。」
「まあ、ユイナさんシミズさんと同じですわw」
「来てるのか?あの2人。」
「はい。魔の森でAランク魔物エンペラーオーガの集団が出たそうで、ギルドの討伐依頼を受け無事討ち取った帰りに寄ったそうです。」
「エンペラーオーガの集団か。さすがSランク冒険者だな。」
噂をすれば何とやらSランクの2人に、アレックス、ミーナの4人がホールに入ってくる。
「創造神様がいるわよシミズ」
「また身体がデカくなってる…」
「…お前達、普通に久しぶりとか挨拶できないのか。」
「普通じゃない建物を一瞬で作る、普通じゃない人に普通の挨拶なんて出来るわけないでしょ。」
「会うたびに10cm以上、背が伸る人間に普通の挨拶は俺も無理だな。」
「そうか残念だ…今日は大晦日恒例ヨミウリ一族郎党の年越しパーティー。美味い料理がいっぱい出る。当然俺も例のスキルでスイーツとかも出すんだが、お前ら2人には普通の人間じゃない俺の出す物なんていらないよな。」
「タイセーくんお久しぶり~♡元気だったぁ~?」
「タイセー本当に久しぶりだ。元気そうで何よりだ。」
「…美幸、瑞穂の最強戦力Sランク冒険者の2人って、こいつらじゃないよな?」
「…申し訳ございません。この方々です…」
「タイセーじゃれ会うのはそれ位にして、私の部屋に案内してくれ。50Fからの景色が観たい。」
「了解兄上。俺の部屋もあるし、49Fには5,000㎡のパーティールームもある。今日のランチはそこで食べるらしい、皆で行くぞ。」
タイセー、美幸、ラブリー
アレックス、ミーナ
ユイナ、シミズ
7人高速エレベーターで49Fに向かった。
**********
「おおアレックスとミーナも来たか。」
「ユイナちゃん、シミズ君も良く来てくれたわ。今日は泊まってゆっくりしていくのよ。」
「「国王陛下、王妃様ありがとうございます。」」
【49F パーティールーム 12:00】
「凄いな…これは…」「ほんと…」
タイセーのギフトで取り寄せた和洋中200種類の料理が並ぶ。
その煌びやかで食欲をそそる雰囲気に、国王と王妃も息を飲む。
「これは皆が好きなものを自分で選び、自分で器に取って食べる"ブュッフェ"って言うスタイルだ。」
「「「おおおーー」」」
ヨミウリ家一族郎党、宮殿勤めの総勢700人から感嘆の声が漏れる。
「食べ放題飲み放題でテーブルマナーは煩くないが、1つだけ禁止事項がある。1度取った物は食べきる事、残すのは駄目だ!!
決してプレートに戻してはならないぞ!!
最初は少しずつ取って、美味いと思ったら何度でも取ればいい。このマナーを破る人は2度とここには入れないから注意してくれよ。」
「「「はい!分かりました!」」」
「それと後から極上スイーツも出すが、これはお土産も用意しているので受け取って帰るように。」
「「「やったーーー」」」
まだ新しいシステムキッチンの説明を受けてない、宮廷料理人等厨房関係者達も、今日は食べる側に回る。初めて見る料理に皆の表情は真剣そのものだ。
「みんな宮廷料理人の名にかけて、味・素材・料理方法全て盗むぞ。これは我々の闘いだ!」
「おーーーーー!」
いや楽しめよw
ーーーーーーーーーー
【49F パーティールーム 15:00】
そして楽しい時間はあっという間に過ぎて、使用人達もスイーツのお土産を受け取り帰路につく。
残るのは交代で休日を組むメイドや厨房関係者、近衛騎士団の1部。
ヨミウリ一族郎党もそれぞれの領地運営があるので、王族家族のみとなる。
49F厨房
「料理人・厨房勤めのみなさ~ん。これからシステムキッチン内の説明をしま~す♡いろいろ家電もあるので1つずつ覚えていきましょう。」
「おーーーーー!」
"ビュッフェバイキング"の美味しさに衝撃を受けた料理人達。
明日から休みの人まで参加する熱の入りようだ。
『ラブリー、帝国ホテル料理長レベルのAndroidをギフトで5体購入した。それを今出すから、今日の夜会向けの出汁やソース等、皆に実践させてくれ。希望者にはレシピを渡して構わない。俺はこれから"魔王の魂"を始末してくる。』
『分かりました…タイセー様、始末とは…』
『…封印では駄目だ。俺に何かあった時、収納がどうなるのか分からん。完全に消滅させ禍根を絶つ!それで
シュッ
料理長Android5体を出して転移で消えたタイセー。
「お気をつけて…」
覚悟を決めたようなタイセーの表情に、何かを感じたラブリー。
「ラブリーさん…私達の陛下を信じましょう…」
ラブリーに寄り添いながら、自らの不安も無理やり抑える美幸。
その様子を静かに見守る
「私達の息子タイセーを信じましょう貴方。」
「ああ
タイセーが魔王を完全消滅させる為に何をする気なのか?家族達も不安を抱きながら、信じて待つのみと腹を括ったのでした。
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