第31話 東京王国視察団御一行様
独立建国会議翌日
「取りあえずここが宮殿最上階です。手摺から身を乗り出さないで下さい。」
ヒュゥーーーーーーーーー
島の冬独特の西から東へ偏西風が吹く、最上階アッパーデッキ。
昨日の14人(タイセー含む)に加えて
ミーナ
グリフィン皇太子
娘の
ヘイワードヨミウリ騎士団総長
クロマティ執事
トラウトセリーグ宰相
以上7人合計21人が高さ700m上空からの景色に
「タイセーよ、いや失礼タイセー国王陛下。メジャー帝国の宮殿とはこんなにも立派な建造物なのか?」
「いいえ国王陛下。元々宮殿の高さは70m弱でしたが、私の生まれ故郷、東京スカイツリー634mを、建築土木スキルで創造し上に増築しました。」
「……なあヨシノブよ。もう国王陛下と呼ぶのですら、大変失礼に当たるのではないか?タイセー創造神様とお呼びせねばならぬと思うのだが…」
「………」
「ん?ヨシノブ聞いておるのか?」
「……あっ!はい何でしょう陛下」
「いやもうよい、まあ皆がこうなるのも仕方無いか。ここから見える景色、未来都市とでも表現すれば良いのか?最早、我にも分からんわ…」
「未来都市ですか、なるほど流石国王陛下。その表現東京でも使われてました。」
「東京か…行けるものなら1度行ってみたいが、異世界である以上それは叶うまい。であればタイセー国王よ、やはりお主が再現するしかあるまい。
お主の事だ。本物の東京以上に凄い街を、作ろうとしているのではないか?」
「はははそうですね。何でも最初にやるのは素晴らしい事だと思います。ただ後発には後発の良さもあるのかなと。」
「後発の良さか。改善だな。」
この時タイセーはセリーグ国王の聡明さに、内心舌を巻いていた。
『参ったな、この人は本物だ。国王としての経験値がまるで違う。』
『仕方ありませんダーリン。書類上東京王国・初代国王陛下タイセー・トウキョウヨミウリになられたのは今朝なのですから。』
『まあそう言われてみれば、そうなんだがなw』
**********
昨夜宴の席で独立の件について、ヨミウリ侯爵の最終結論をセリーグ国王陛下に報告。
今朝正式文書を作成。
4人の国王がそれぞれ署名した。
①魔王島改め東京王国を建国して独立する。
初代国王はタイセー・トウキョウヨミウリが就任。
②現在のヨミウリ領地に旧マクガフ公爵領地を吸収合併し新たにヨミウリ王国とする。
初代国王はヨシノブ・ヨミウリが就任。
③セリーグ王国・瑞穂王国・ヨミウリ王国・東京王国はそれぞれ安全保障通商条約を王国暦246年1月1日に締結する。
尚4か国全てにおいて王国暦に統一する。
④CMYT(4か国条約機構)
それぞれ国名の頭文字アルファベットから取った、4か国における軍事機構の設立。
加盟国が武力攻撃を受けた場合CMYTへの攻撃とみなし反撃する。
集団的自衛権を行使する訓練として年に4回、それぞれの国において4か国連合軍事演習を行う。
演習期間は1回3週間、連携した動きの確認と騎士団員・陸海空軍兵士達の交流を主な目的とする。
⑤CMYT(4か国条約機構)加盟国において国家間輸出入に関税は存在しない。
⑥お互いに大使館を設置する。
⑦上記①~⑥全てを安全保障通商条約締結の王国暦246年1月1日から実地することをここに宣言する。
**********
「はい改善です。私のいた東京は人口が集中して1,400万人を超え、働く場所も多く活気に溢れていました。
ですが慢性的な交通渋滞、満員の通勤通学電車、膨大なゴミ処理問題、自然破壊等、問題点も多かった。」
「電車?とか良く分からんがゴミ処理が問題とは"スライム"はいないのか?」
「スライムどころか魔素が無いので魔物も魔族もいません。魔法なんて夢物語です。」
「魔素が無い……逆に衝撃だな。建築スキル無くして、どうやってこれだけの物を建てるのだ。」
「科学の発展と言いますか、勉学を重ね後に"産業革命"と呼ばれる機械化に成功しました。馬で引かない車、空を飛ぶ乗り物もあります。」
「機械化……ゴーレムの様な物が多数あって、魔法が無くても大量生産が可能と理解したがどうだ?」
「まさにそれです。当然100年以上の年月をかけて1歩ずつ前進したのです。」
「なるほど、タイセー国王はその歴史を知っている。だからこそ問題点も見え、それを回避する街いや都市創造が出きる。しかも魔法が使える世界だ、時をかけずしてこれだけの物が作れたのだな…」
「いや父上。いくら建築土木スキルがあっても、1人でこれは異常です。どれだけの魔力があるのか?想像つきません。」
やっと話せる状態に戻ったグリフィン皇太子
「おっ!やっと正気に戻ったかグリフィンw皆も大丈夫そうだな。トラウト宰相、そちもタイセー国王の作ったセリーグ大使館を早く確認したいであろう。」
「はい。勿論それが第1の目的でありましたが、この巨大都市を見てまるで自分が天界にいるのでは?と錯覚しておりまして…
是非わが国の建築に携わる者達を視察させて頂きたく如何しょうか?タイセー国王陛下様。」
「年明け正式にCMYT(4か国条約機構)発足後なら何時でも構いません。」
「しかしタイセー、大陸とここでは800kmの距離がある。今日はお前の転移で連れてきてもらったが国王就任後は多忙になるぞ、毎回そうもいくまい。」
「父上。これから宮殿を案内しその後、先週完成した新型高速客船でランチタイムと致します。フェンウェイパーク大陸と東京王国を2時間で結ぶ高速船。乗り心地を体験して下さい。」
「なっ!2時間だと!800kmを……うむむ……」
隣で会話を聞いていたクワタ・ヨミウリ王国海軍大将。船のプロだけに常識はずれな船脚に唸ってしまう。
「最早、驚愕呆れを通り越して愉快になってきたなwではタイセー国王、宮殿内に案内して貰えるかな。」
「はい国王陛下。ラブリー皆さんをエレベーター前に案内して。」
「畏まりました。ミナサマ・ミギテヲ・ゴランクダサイ。コレヨリ・アノアオイ・ヤジルシノナカニ・ハイリマス・アシモト・オキヲツケテ・オアルキクダサイ。」
ガイド風アナウンス口調で皆をエレベーター前に引率する。
「…お前いつからバスガイドさんになったんだ…しかも真冬に夏用だろその制服…」
ネイビーブルーに鮮やかなイエロー縦ラインの入った、はとバスコスチュームに着替えたラブリー・エリザベス。
「タイセーサマ。フユヨウニハ・イエロータテライン・ハイッテナイノデス・ソレハ・ユルセマセン・キリッ」
左手に【サダハルオーセリーグ国王御一行様】と書かれた小旗まで持っている。
「分かったから、口調だけは普通に話せ。」
「かしこまりー♡」
ーーーーーーーーーー
その後、国王御一行は高速で静かなエレベーターに驚き、豪華絢爛な宮殿内に魅せられ、ハイテクノロジー満載、豪華高速客船のあまりもの巨大さに心を鷲掴みにされていた。
「山が、山が海に浮いてる。」
「確かに山ですね…どんな巨大魔石使えば動くんですかね…」
「これが客船なのか…衝突するだけで敵船は沈没だな…我が海軍にも1隻欲しい…」
非常識の塊が目の前で海に浮いてる現実。それを目の当たりにした全員が、東京王国タイセー国王との絆を強くしようと改めて決意したのである。
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