第2章

第21話 (第2章スタート)Sランク冒険者の2人もキハチのロールケーキには勝てません


「ええい!誰の指図か吐かぬか!!」


 ドス!バキッ!グチャ!

「グゥーー主よゲホッ」

「ぐわぁーーー主さまぁー」

 激しい暴行拷問に耐える8人の陸軍隊員。


 デビル・カブレラ魔族統括の闇隷属魔術。

 何度試しても8人の陸軍隊員が隷属化される事は無かった。


「何故だ?何故たかだか人間ごときに俺の闇隷属魔術が効かない?」


「カブレラ様。この8人は陸軍特殊部隊の精鋭、死んでも口は割らないかと。」


「ならばマクガフ公爵よ、魔王様の生贄として他の人間と一緒に連れていく。このまま地下牢で監禁しておくのだ。」


「はは仰せのままに。」


 影部隊隊長オドーアが8人の様子を語る。

「しかし解せませぬ。中央市場、総合病院前、学校正門前、役所1階大ホール等々、この3日間で奴等は大勢の民衆に向かい訴える訳でも無く、質問にも答えず、拉致誘拐の事を大声で語り合っていたと。」


 マクガフ公爵

「誰かの差し金であることは間違いないが、不思議なのはカブレラ様の隷属化が効かぬ事よ。」


 カブレラ

「もうよい。魔王様が復活し魔族に闇魔力を提供下されば、我等も本来の力に戻る。そうなればこの大陸を手に入れる事など造作もない。オドーワ、若き生贄は何人になった。」


「はっ77人でございます。」


「この8人を足すと85人か。明日中に後15人集めよ。その合計100人を魔王島へ連れていく。マクガフ公爵、海軍輸送船の手筈は?」


「問題ありません。300人乗りの高速小型輸送船が何時でも出発できます。」


「では明後日夕方、第1陣として輸送する。1度御主等も魔王島を見聞するとよい。濃い魔素が島中を包み込んでおるぞ。」


「ありがたきこと。このマクガフ、魔王様封印されし地を礼拝叶う幸せに、うち震える思いにございます。」


「濃い魔素に包み込まれることを想像するだけで、気持ちが高揚致します。」

 オドーワも涙を浮かべている。


「よい、では明後日15時集結だ。実行部隊には少々、手荒な真似をしても構わんと伝えろ。」


「はっ失礼します。」

 オドーワが消える。


「では統括様。この者どもの仕出かした件で民衆が騒いでおります。近衛兵達で平定して参りますので此れにて。」


「ああマクガフ公爵、くれぐれも殺すなよ。若者は第2陣の生贄として魔王様に献上するからな。」


「心得ております、では。」


「想定外の騒ぎは起きたが第1陣として生贄100人なら、まあまあ順調というところだ。明後日まで魔の森にて、良質な魔素をタップリ蓄えてくるか。」

 カブレラもまた公爵家屋敷から飛び立って行った。


 **********


「最高の場面が撮れたわねシミズ」


「ああユイナがタイセーから借りたこの偵察ドローンという物が、これ程優秀とは正直驚きだな。」


「録画しながらこうして映像が見れるんだもの。タイセーが言ってた"LIVE配信"ってのも1度やってみたいわね。」


「そうだな、しかしこれは偵察や密偵探索等の概念が根底から覆る代物だよ。」


「ちょっとタイセーに連絡してみるね。」

 念話で決定的な会話が撮れたと伝えるユイナ。


 ドン「どれ見せてくれ」

 突然現れるタイセー


「きゃあ、もう驚くでしょ。」


「お前いきなり人の部屋に…相変わらず無遠慮な奴だ。」


「あっ悪かった。いちゃついてる最中だったか?すまん」


「なっ何をいうか。やましいことはしてない。」


「そうよ、変なこと言わないで。タイセーの癖に。」


「そのタイセーの癖にが良くわからない。してないって何だシミズww」


「うっ!それはだな…」


「まあいい、ほら」


 タイセーが収納から"パティスリーキハチ東大島店"のキハチトライフルロールケーキを1本取り出す。

 マンゴー、バナナ、イチゴ、パパイヤ、キュウイ等のフルーツをシャンティー生クリームで合わせ、それをフワフワのスフレ生地で巻いた自慢のロールケーキ。


「「ゴクリ」」

 ユイナとシミズ二人から

 思わず唾を飲み込む音が聞こえる。


「俺が映像を見ている間、これでも食べてくれ。来週からヨミウリ領地で先行販売して、来年からは王都でも売り出すつもりだ。」


 言ってる側からユイナがナイフで切り分けた。


 ジロリと睨むシミズに


「な、何よ」


「ユイナ余り細かい事は言いたくないが、圧倒的に多いよなユイナの方が…」


「手元が多少狂ったのよ…パクッ」


「何が多少だ!どう見ても8:2じゃないかモグッ」


「「なんだ(なに)これ~~~」」


 夢うつつの表情の2人に

 よく冷えたペットボトルの午後の紅茶と

 キハチのガトーショコラを3個出す。


「ねえタイセー親戚の私が2個でのシミズが1個で良いのよね。」


「逆だろ又従姉弟のユイナねえちゃん。」


「なんでよ!」


「さっきのロールケーキ、誰がどう見ても8:2だったぞ。」


「タイセー…。俺は一生お前についていくぞ!」


「いやそういうのいいから。ユイナもさっさと食べないと収納にしまうぞ。」


「「パクッ」」


「あああ~~このほろ苦さと甘さ♡私これのためなら人も○れるわ」


「「やるな!!」」


「冷たい紅茶は初めて飲んだが、こんなに合うものなのか。」シミズも蕩けている。


「よし!いい動画が撮れたな。これまでの実行犯の画像に、この3人の会話で動かぬ証拠だ。あとは実際誘拐された生き証人100人をこちらで確保すれば一網打尽だ。」


「明後日の夕方が山ねモグモグ」

 キハチの奥入瀬卵のカスタードプリンを頬張りるユイナ


「そうだそうだ、サクッサクッモグッゴクゴク」

 発酵バターたっぷりの焼き菓子

 キハチのバターサブレを口一杯に詰め込み、午後ティーで流し込むシミズ。


「……まったくお前ら、まあいい。ってことで明後日15時ここに集合だ。戦闘になるからそのつもりで準備しといてくれ。」


「「了解」」


「じゃあな」


「待ってタイセーさま~♡」


「なんだ急に猫なで声」


「もっとスイーツがあるとユイナ頑張れると思うの。」


「タイセー殿、俺もユイナの意見に同意する。」


「……………」


 呆れた表情を浮かべながらも

 キハチのアニバーサリーケーキ

 フルーツタルト15cmホールを

「これなら喧嘩にならんだろ」と2個置いて行くタイセー。


「「ははあ~神様」」


 土下座してタイセーを拝むスイーツ奴隷の2人。


 ユイナとシミズ正真正銘のSランク冒険者ですら、タイセーの令和日本スイーツ作戦に落城した瞬間でした。


 ーーーーーーーーーー


 地下鉄都営新宿線・東大島駅徒歩1分

 新大橋通り沿いではないので要注意!!


 江東区民なら誰でも知ってる

 "パティスリーキハチ"

 その代名詞フルーツロールケーキ、嫌いな人はいないw絶品です。

 正式名称はキハチトライフルロールなんですが、私の周りはフルーツロールケーキってみんな呼んでた。


 本店は青山にあるんだと。

 港区青山…下町の人間には敷居がたけぇーなw


 年末年始以外は何時でもやってる印象、詳しくはスマホで調べて下さい。

 1度騙されたと思って食べてみて。ホントに騙されたって事にはなりませんからm(_ _)m

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