第13話 魔族と残虐皇帝陛下の密約


 ユイナ「私のお婆ちゃんね実は先代瑞穂国王の妹なの。」


 シミズ「ブッホ!ゲホゴホ!!」


「も~汚いな~テーブル拭いてよ」


「そりゃせるだろ。ユイナって王族じゃないか!!」


「2代前の伯爵家に嫁いでるから王族の血は薄いけどね。タイセーのお母様は先代瑞穂国王の次女。つまり私のお婆ちゃんの姪っ子でお父さんと従兄妹なの。」


「じゃあユイナとタイセーは又従姉弟またいとこ。血が繋がってるから念話が出来たんだな。」


「そうね、だから念話が来たときビックリしたけど、何となく安心感っていうか暖かさを感じて、もしかしたらってさっき確認したんだ。」


「それで謎が解けたな。でどうするタイセーからの依頼?と言うより、もう金塊受け取ってるし…」


「そうね相手が魔族とはいえ、監視だけならやれない事もないわね。OKの返事しとくわよ。」


「ああ、しかし念話って便利だな」


「ほんと便利。それより魔族の動き次第で明日から忙しくなるわ。今日は色々準備して早めに休まないと。」


「そうしよう念のためまずは防具だな。行こう」


 タイセーに手を貸す事にした二人。


 その頃メジャー帝国宮殿では


 **********


 狂戦士バーサーカー残虐皇帝と魔族統括。最悪コンビが手を結んだ翌朝。


 アーロン・フォン・ジーター皇帝陛下。

「では早速昨夜の打合せ通りデストラーデ・マクガフ公爵とその海軍を隷属化してくれ。」


 デビル・カブレラ魔族統括

「まず公爵と公爵家海軍提督を我がしもべにしてくる。」


「ああ、公爵家海軍は戦闘艦5隻と少ないが大型輸送艦は20隻保持している。それが狙いだ。」


「分かった。明朝、手はず通りヨミウリ侯爵との国境線に陸軍を頼むぞ。」


「元々10万人規模の野外演習を魔の森前にある平原で行う予定だった。準備はできているので、1週間ほどヨミウリ侯爵領との国境線に張り付かせる。これでヨミウリ陸軍は北方を無視出来なくなる。」


「手始めに公爵領の民50人程を輸送艦で魔王島へ運ぶ。1週間も北方に引き付けられれば、こちらも仕事が容易くなるな。」


「ヨミウリ領は我がメジャー帝国とマクガフ公爵領に挟まれているからな。今回我等の密約は地の利を最大に利用できるぞ。どんどん暴れてくれ、帝国海軍も1月後を目処に演習準備を進めておこう」


「ああ行ってくる。」


 マクガフ公爵領に飛翔魔法で向かうカブレラ統括。


 メジャー帝国がヨミウリ侯爵領地に攻め込む姿勢を見せ牽制。

 その隙にカブレラがマクガフ公爵を隷属させ領民を拉致、魔王島に送る(魔王への人魂生贄)。

 その後も何度か牽制を繰り返し、来春を目処にメジャー帝国陸海軍とマクガフ陸海軍同時侵攻を起こす。

 これが昨夜2人が交わした密約内容。


 だが

 狂戦士バーサーカー残虐皇帝の本音は


「ふん魔王の復活等させるか、こっちまで殺られる。

 カブレラを利用し邪魔なヨミウリ侯爵領さえ落とせば、我がメジャー帝国念願のセリーグ王国に雪崩れ込める。そこまでくれば屑魔族に用は無い。我の光魔法の餌にしてやるwww」


 流石侵略国家メジャー帝国の首領ドンいずれにしろヨミウリ侯爵領にとっては迷惑な話です。


 **********


「ん?もう動いてるよ…まったく明日学園初日だってのに、少しはのんびりさせろや!!」


「タイセー様?何が動いてるんですか?」


「ああ~ミーナには話しとくか。魔族だよ少し鑑定しとくか。」


「魔族!!あの魔王島の魔族?」


「デビル・カブレラ、職業:魔族統括だとよ。どれレベルは?ほお~人間よりは遥かに強いが、まあ大したこと無いな。」


「いやいやいやタイセー様、大したこと無いって魔族統括ですよ。でも魔王島から大陸までどうやって来れたんですかね?」


「まあその辺はいいだろ。この方向だとマクガフ公爵領だな、俺は奴を追跡監視する。ミーナはグラスノー副団達と屋敷に戻り明日の支度をしといてくれ。」


「いえ同行いたします。護衛ですから。」


「制服や靴、教科書とか忘れ物無いようにしっかり確認するんだぞ。」


「…どこまでもお供します。護衛ですから。」


「じゃあ頼んだぞ」


「護衛ですから…………き…え…た…」


 **********


 マクガフ公爵家に降りたったカブレラに対して、オドア隊長始め使用人に至るまで全員が跪く。

「お帰りなさいませカブレラ統括様。」


「ああいま戻った。デストラーデ・マクガフ公爵はまだか?」


「先ほど先触れが参りましたので、20分ほどで到着かと。」


「そうか、オドア昨夜の首尾はいかに。」


「はい、18歳~23歳までの若者15人を地下牢へ監禁しております。」


「うむ、でかしたぞ。魔王島で地獄を体験させ絶望を与える。それまでは痛めつけるなよ、死なれたら新鮮な贄にならんからなw」


「心得ましてございます。」


「公爵を待ちながら紅茶でも飲むか、用意させろ。」


「御意」


 しばらくして公爵が護衛の近衛騎士団100人と共に帰宅。


「お帰りなさいませ公爵閣下様」


「オドーワどうした?影部隊隊長がお出迎えとは何かあったのか?」


「はっ急ぎ判断頂きたい用件が発生したため報告致したく。」


「そうか執務室で聞こう。」


 2人は執務室へ入るが近衛騎士団も着いてくる。


「閣下人払いをお願い致します。」


「ふむよかろう。近衛隊長と魔道師筆頭の2人以外は外で待機だ。」


 そして3人の男達が入室しオドアの緊急報告とやらを聞く。


「何があった」


「天井をご覧下さい。」


「ん?」3人が見上げたそこには、闇隷属化魔術の準備を終えたカブレラが天井に張り付き、見下ろしていた。


「マクガフにそこの2人!!これよりお前達は、俺のしもべとなる事を。その人生を終える時まで、手足となって俺に尽くせ!!」


 己の魂を鷲掴みにされる感覚が3人を襲い、カブレラに絶対服従しなければならない思いが全身に漲ってくる。


「「「ははあカブレラ統括様。どうか我等を御導き下さい。」」」


「よかろう、これよりお前達も俺の忠実な犬だ。まずは公爵軍海軍提督を呼び出せ!!今すぐだ!!」


「お安いご用です。」


 緊急会議の名目で次から次とマクガフ公爵領の重鎮達が呼び出され、その日中に騎士団・軍部・官僚等全ての首脳が魔族統括カブレラのと成り果てた。



「へえ~隷属化とは考えたな、中々やるねぇカブレラも。どっちにしろメジャー帝国が絡んでるのは間違いない。監禁されてる15人の待遇は悪くないから、公爵はしばらく泳がして、帝国軍の様子を探ってくるか。」


 光魔法の光学迷彩スキルで透明化したタイセー。気配を完全に消し、一部始終を見届けると


「まったく忙しいにも程があるぜ。これ片付けたら父上から星★★★3つ貰わなきゃなw」


 タメ息をついてメジャー帝国宮殿に転移で向かう。


「明日は瑞穂の2人に早速監視お願いしなきゃな。学園初登校で遅刻は不味いだろ、念話しとくか。」


 結菜ユイナ&シミズのSランクコンビに連絡するタイセー。

 ヨミウリ侯爵領とセリーグ王国の安寧を守るべく"抑止力侯爵"の三男として、大きくその名を轟かせる前夜はこうして過ぎて行った。


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タイセーよ★★★星3つ欲しいのは作者も同じだ。テンション上がり創作意欲が沸くからなm(_ _)m

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