第9話 レベルMax over


「………」


「って事でタイセーとミーナだ登録を頼む。」


『何で私のとこにくるのよ、隣も空いてるじゃない。登録前に決闘受けるようなメンドーそうな奴、関わりたくないのに。』


 ギルド本部に今年入ったエル・フィニング嬢(19歳)。そんな本音を見事に抑え込み輝く笑顔で対応する。


「……………………となります。これで説明は終了ですが何かご質問ありますか?」


「「大丈夫だ(です)」」


「はいではこちらが冒険者カードですので紛失しないように管理して下さい。」


「分かった、じゃあハゲが待ってるからこれで失礼する。」


「……」

『お願いだから止めて。が私まで睨んでるじゃないホント嫌。』



「さあ殺るかハゲ!!とっとと練習場とやら行こうぜうすらハゲ」


「マジでてめぇは殺してやる!!」副ギルマスに聞こえないよう小声で呟くゲハー。


 そして本部裏手にある練習場に到着。


 **********


 審判を勤める副ギルマスからの説明を受ける。

「決闘とはいえギルド敷地内での殺しは厳禁だ!!獲物はここにある剣・槍・斧・盾等木製を使ってもらう。好きなものを選んでくれ。それと魔法の使用も認めてはいるが、相手が死んだ場合殺人罪に問われるからな。要はやり過ぎるなって事だ!!」


「へぇ~ずいぶん多くのギャラリーがいるな」


「先ほど受付前にいた冒険者達のほとんどが来てますね。」


「おい!!余裕ぶっこいてんじゃねーぞクソガキ!!」


「みんな俺達に賭けてるんだよ。」


「なるほどな賭博にもなるのか。よしやるか!!ミーナ今日は見学だ」


「えっ(?_?)どうしてですか!!私に殺らせて下さい。」


「それな!!殺らせてがダメ✕もう少し手加減上手くなってからだ。」


「そんな……」


「命令だそこで大人しくしてろ。」


「うう……分かりました。」



「では始めるぞ準備はいいな!!」


「へへやっと殺れるぜクソガキ覚悟しろ!!」

 ゲハーが自身に身体強化魔法をかけ木製槍を構える。


 するとタイセーが

「いやちょっと待ってくれ。」


 副ギルマス

「ん?どうした?決闘は1度了承したら待ては無いぞ。どうしても嫌なら、ルール通り土下座で非礼を詫び靴を舐める事になるが?」


 ハゲファミリー

「槍術レベル6の俺様の構えに怖じ気づいたかwwwおせぇーんだよクソガキwww」


「「「ギャハハハハハ靴なめろガキ」」」


 タイセー

「ちげーよハゲ、お前1人しかいないからだよ。後ろの3人お前等も出てこい。4人纏めて相手してやっからww」


 副ギルマス

「おいおい決闘での発言はたとえ冗談でも取消せないぞ。1対4で戦う事になる。これ以上バカな事は言うな。今ならギルド権限で聞かなかった事にしてやる。」


 タイセー

「いや本気だから気にすんな副ギル。それより早く出てこいよハゲファミリー」


 ハゲファミリー

「お望み通り殺して…殺す寸前までいたぶってやる!!」


 副ギルマス

「はあーまったく、どうなっても知らんぞ。では始め!!」



 ギャラリー冒険者達

「なんだあの新人Fランク、1人で【狂犬】4人纏めて相手だと」


「もしかしてと思って昨夜の稼ぎ全部新人に賭けたのに…」


「バカだなお前諦めろw」


「狂犬はCランクパーティーだぞ。」


「ゲハーはBランク。槍術は本物だ」


 皆が勝手な事を言いながら見つめている後ろで、黒髪黒目の男女が二人話していた。


「こんなの初めて見たわ?魔力計測不能って何?ねえシミズあの新人もしかしてヤバイかも。」


「瑞穂王国トップクラス鑑定スキル持ちのユイナがそう見えたなら、名の知れた魔道師の弟子かもしれん。」


「本当に怖いのは、魔力以外モザイクで見えないの。と言うより魔力だけはわざと見せてるのかも。」


「ユイナの鑑定を防御できるだけのレベルって事か?」


「うん、しかも後ろで待機している女の子も含め新人君の魔力オーラで守られてる。これって瑞穂でも王族クラスじゃないと無理よ。」


「そんなに……じゃあ狂犬は」


「多分4人揃って秒殺だわ。まあギルド内だから殺しはしないだろうけど。」



 犬面「うりゃーファイヤーボール」

 猿面「おりゃーストーンバレット」

 キジ面「どりゃーアイスジャベリン」


「おお~桃太郎の取巻き三匹。いまじゃハゲファミリーだがなw」


「「「シュッ」」」

 Cランク冒険者から放たれた3種類の強力な魔術は、小さな音を残しタイセーの3m手前で消滅した。


「なっ、えっ、バカな」

 もっとも得意な魔術を簡単に防がれCランクの三人は驚愕し固まっている。


「ユイナいまのは」


「そうよシミズ、光結界よ!!もっとも難しい無詠唱でね。」


「メジャー帝国のジーターとどっが上だ?」


侵略者あいつのはギフトと複合可能だから普通なら勝てないはずだけど……」


「なんだ?」


「こんな一瞬での無詠唱魔術しかも光結界って…もしかして見たことも無いレベル例えばレベルMax over…まさかね…」


「Max over…」


 ーーーーーーーーーー


 そうユイナさん Max overの可能性にたどり着くのは流石です。

 でも仕方ないですよね。人間未知の世界は想像すら難しいもの。

 あっでもユイナさん。

 タイセー君はそのMax overすら軽く超越してるので、ごめんなさい。いわゆる人外じんがいです。

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