さよならの準備。

夕日のあたる放課後

第1話

転校が決まってから、今日で2週間。


最後まで転校が決まったことを皆に言えなかった。


部活も顧問の先生に口止めして、部活のみんなに何もいわずに辞めた。


突然辞めたくせに、放課後はここからサッカー部の練習を眺めてる私をみて、いい顔をしなかった。


当たり前だよね、突然退部してここでサボってるんだもん。


だけど、どう思われようと転校までの残された時間をここに使いたかった。


今まで自分も部活をしてたから、結城くんの練習姿を見ること出来なかった。


練習してる結城くんも、こんなにかっこよかったんだね。


汗も笑顔も、真剣にサッカーやる姿も、キラキラ…輝いてた。


こうやって練習する結城くんを眺めるようになって、結城くんも教室から眺める私に気づいてくれた。


あっという間の2週間だった。

もう、2週間過ぎちゃった。


ついに明日、わたしは転校する。



何か言わなきゃって思った。

お別れの言葉を伝えなかったから後悔する。


何度もそう思ったのに、どうしても、どうしても言葉が出てこなくて、今日、最後の時間を過ごす。


結城くんだけじゃなくて、みんな大好きだった。


何度もいってきてお別れの挨拶を、今回はどうしても言えなかった。


本当に楽しい時間だった。

結城くんともっと話したかった。

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