第6話

ハァハァと自分だけの息遣いが静かな路地裏に溶ける。



「、、、来ないで!」


「なんでや?」


早く、早く、もっと速く走らなきゃ。


チラリと後ろを振り返ると、なんの感情もない顔で私を追いかけているあの人が見えた。


次に捕まったら、



ーーもう外の世界に戻ることはできないかもしれない


だから、逃げる。


走りながら、周りの景色を見て、隠れれそうな場所を探す。


あ、あそこ良さそう。


そう思った私は、周りより薄暗い路地裏の中に入った。


足音が遠ざかる音がして、過ぎたのか確認しようとして、顔を北の方向に向けた。







それが間違いだった。


「みーつけた」



目の前が暗くなった。

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