9

ブレザーの内ポケットからスマホを取り出して、友達ボタンを押してみた。




「はーい!何か困った事や聞きたい事があるのかな?!」




テンションの高い美奈が満面の笑みで私の前に出現する。




「あ、えっと、九条君との親密度をどうやって上げたらいいのかな?」



「親密度を上げるには、攻略したいキャラの好きなものをプレゼントするのもいいんじゃないかな?」




九条君って指定したのに、美奈の答え方は全キャラ共通のものだった。



攻略したいキャラの好きなものをプレゼント……。




「ちなみに、普段の日に贈るよりも誕生日やクリスマスに贈った方がポイントは高いよ!」




可愛らしくウィンクをして、美奈は小首をかしげて人差し指をたてた。



ワンポイントアドバイス、とでも言いたいのか。



誕生日かー。



九条君の誕生日は、5月だから、季節を春に選択すればよかったのか……。



あ、でも、クリスマスがある!




「あの、美奈ちゃん。九条君の好きなものって何?」



「各キャラの好きなものは、スマホにあるキャラクタープロフィールで確認してみてね!」




またしても美奈の答え方は、全キャラ共通のもの。



ハハハと苦笑すると、美奈もニコニコとする。



スマホでキャラクタープロフィールがチェックできるのかぁ。



このゲーム、3人しかキャラいなかったから、3人とも誕生日だけはしっかり覚えていたんだよね。



馬渕君も九条君も誕生日無視して、季節を選んじゃったけどさ。




「あ、ありがと……」



「それじゃ、また困った事があったら呼んでね!」




手をヒラヒラさせて、美奈はパッと消えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る