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ずっとスマホの画面を通して見て来た馬渕君。



その彼が今、私の目の前にいる。



選択した内容が反映されているなんて……!




「本当、悪かった。ケガがなくてよかった」



「や、当たってたらケガだけじゃ済まないんだけど」




放心していた私に、爽やかな笑顔を向ける馬渕君に私はボソッとつぶやいた。



ゲーム中のセリフと全く一緒なんだけど、ゲームでは飛んできたものはサッカーボールだった。



でも、馬渕君が今手にしているのは砲丸投げに使用する砲丸。



爽やかな笑顔と持っている物が釣り合わないんですけど……!




「そこは、ハートが熱ければ何とかなるんだ!現にお前は避ける事ができただろう?!」



「いやいや、ハートが熱くたってさすがにこれは……」




ハートが熱くて避けられるのなら、苦労はしないよ!



馬渕君ってこんなにアツいキャラだったっけ??



顔はめちゃくちゃ爽やかなのに、言っている事は無茶苦茶で無駄にアツい……。



物凄く変な人。




「滝沢。今日、俺と日直だから。悪いけど日誌を職員室に取りに行っといてくれないか?」



「あー、はい」




馬渕君と一緒に日直かー。



って、職員室の場所なんてわからないんだけど。



わからなくてもさっきみたいに省略されるかな?




「サンキュー。俺もコレ終わったらすぐ行くから」




砲丸を手に、爽やかな笑顔を向けてグッと親指をたてた馬渕君。



かなりミスマッチで、残念な絵だと思う……。



とりあえず笑顔を返して、私は後者に向かって歩き出した。



何でだろう?



私がプレイしたゲームの世界であるはずなのに、少しずつ何かがズレている。

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