第11話
その翌朝。
明け方にようやく瞼の重みを感じ、一時間ほど眠った私は、目覚ましのアラームの前に起き、部屋を出て、恐る恐るあの宴会の間へと行ってみた。
入口のスリッパは一つもなく、襖の凹みも取り替えたのか、綺麗になくなっていた。
『中の人たちは、自分達の部屋へ戻って行ったの?』
昨夜、感じていたイヤな空気は微塵も残っていなくて、そこは清々しいほど普通だった。
私は、ひと呼吸を置いて襖に手をかけた。
しかし、どうしても開ける気にはなれなかった。
「お世話になりましたー!」
部員、顧問の先生と旅館の方々に一礼して宿を後にする時、私はロビー入口のウェルカムボードを見てみたのだが、
【歓迎 都立 南谷高校弓道部様】
団体で泊まっていたのは、私達だけのようだった。
なら、あれは、なんだったの?
もしかして、芸能人のお忍び宴会?
こんな山奥の温泉旅館ならあり得るかもしれない。
けれど、その日を境に、私は何から何まで調子が悪くなっていったのだった。
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