Poppy playtime : chapter 1 "A TIGHT SQUEEZE"

@kotonoha_humiya

scene 0: Start of the playtime

数十年前に閉鎖されて長らく使われていない廃工場にてー

「ね、ねぇ。もう帰ろうよ。」

「何言ってんだよ。」

二人の少年が話していた。一人は探索に積極的だが、もう一人は今すぐにでも帰りたそうだった。

「だ、だって不気味だし怖いよ。」

「大丈夫だって。ただの廃工場だろ。何も出る訳ねーよ。」

「う~。わかったよ。でも、終わったら早く帰ろうね?」

「ああ。しっかし、ここほんとに会社だったのか?セキュリティガバガバすぎんだろ。こんなおもちゃでドアが開くなんてよ。」

「さっきの部屋がセキュリティルームだったんじゃない?」

「えぇ。じゃあ二,三本持ってくりゃ良かったじゃんか。」

「でも一本もなかったし…必要ないと思うよ。あっ完了するよ。」

ウィーン ドアが開いた

ドアの先は通路のようになっていた。

「さて、行こうぜ。」

「ま、待ってよ〜。」

彼らは開いたドアを通って、広場にでた。

直後

「うわっ‼」

「えっ‼」

「なんだよ、ただの大きい人形かよ。」

「確か......ここの工場で製造されてたんだっけ...」

「へぇ。しっかし月明かりに照らされてなんとも不気味だな。」

彼らが見て驚いたのは、全身青く、手足は黄色く、2つの目と赤い唇を持った人形だった。首元には、リボンが巻かれており、右腕を上げて、訪れた彼らに挨拶をしているようだった。

「さてと…次は、左の部屋かな。」

「あ。手形、あるよ。やってみて。」

「おう。」

ウィーン バチバチッ チャリン……

「うっ⁉」

ヒューズが飛ぶ音と微かに金属のような音がなった。

「え?ショート?」

「かもな。めんどくせー…ん?右手にあるの、あれ鍵じゃね?」

「あ、本当だ。取れない?」

「ちょっと待ってろ。」

ウィーン シュポッ パシッ

「よし、取れた。」

「あれ。この鍵複製不可能なタイプの鍵だよ。俺、鍵屋やってるからわかるんだ。」

「そうか?別にどうでもいいじゃん。それよりどっか開くかな?」

「えー。まだ探検するのー?」

二人はそれぞれ開く部屋を探した。

「ん?おーい。あったぞー。」

「良かった。早く帰ろう。」

「待てよ、ここの探検が終わったらな。」

「えー!?まだー?もう帰ろうよ~。」

弱音を無視して開けたドアの先にはー

「何だこれ?」

「なんだろう。変わってるけど...電気室?」

「意外とつまんねーな。」

「じゃあ早くー」

ブツン

「うわ⁉」

「え、何⁉」

「電気が切れたっぽいな。」

「ここ電気室だよね。つかないかな?」

「そうだな。とりあえずー」

バタン

「「・・・・えっ」」

ドアが閉まった

「え、なんで、なんで⁉」

「どうしようどうしよう。」

「落ち着け、さっきの鍵をー」

(あれ?) ここは廃工場。security roomもあった。鍵はすべて無かった。当然、複製は不可能。更に、ここに来る人はいないし、いても当然security roomにあった鍵を持っているはずがない。(じゃあなんでさっきの人形は、鍵を持っていたんだ?) さっきの鍵にはホコリは全く積もっていなかった。誰かが人為的に鍵をあそこに置いた、もしくは……

「なあ。おーい?」

返事がない。

「おーい?」

(おかしいな、返事がねえ。とりあえずドアを探さないと。)

暗闇の中で出口を探す。

(これか?) ガチャリ

「やった、開いた‼おい早く出よーぜ‼」

「ちょっと待って。」

(なんだ、返事できんじゃん)

「何いってんだよ出たがってたのおめーだろ。」

そして広場に出るとー

「・・・・は?」

人形がいない

「なあ、人形、どこいった?」

「え?人形?いるじゃん。」

「いや、いねえじゃん‼」

「だからいるよ。」

「どこだよ‼」

「君の後ろだよ。」

「はっ?」

そして、振り返るとそこには、先程笑顔を見せていた人形が、目が笑ったままで、赤い口を歪ませて、無数の歯を見せて、そこに立っていた。

「ね、いたでしょ?」

そして、俺に向かって大口を開けて、俺を無数の歯が生えた口の中に押し込んだ。

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