第9話

それでも、夫が私を側に置いているのは、父が地元で名の知れた男だからに他ならない。

結婚して10年。

愛情の温度差をひしひしと感じる。



「板垣先生の奥様、良かったら、うちで冷たいお茶でもいかが?」


運動会も無事に終わり、早く家でシャワーを浴びたいと思っていたのに、民生委員のご婦人に声をかけられた。


「ありがとうございます。お伺いしたいのですが、この後、用がありまして」


本当は、こんな方と意見交換等した方がいいのかもしれないが、暑さと座りっぱなしのせいで体がダルかった。


「あら、折角のご縁ですのに」


ご婦人が少しムッとした時だった。

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