電車と君と、私。

洗拓機

第1話


 午前八時十七分発、黄色い電車の七両目三番ドアの左横。憧れの人はいつもそこにいる。今日も、とても綺麗だ。鎖骨より下の茶色い髪は緩く巻かれていて、ハーフアップにまとめられている。薄いピンクのシンプルなコートは、私が憧れた理想の大人の女性を彷彿とさせる。


<今日も憧れの人発見!>


 ついにフォロワーが1000人を超えたSNS呟いったーに呟いてみる。秒速でいいねが飛んでくるのは、いつも絡んでくれるyukariさん。


<@有未 おめでとう!よかったね!>


 yukariさんは、呟いったーの中で一番好きなフォロワーさん。いいねもリプもしてくれるから、誰よりも懐いている。私の趣味の小説だっていつも読んでくれているから、嬉しくって仕方ない。


<@yukari ありがとー!めっちゃ嬉しい!>


 いつもの日々は、変わるはずがないと信じていた。あの日までは。

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