よく分からない人

第1話

「なおせんせー」


「……」


「ねー、なんで無視すんの」


「……」


「なーおーちゃん?」


「……」




しつこく名前を呼んでくる彼は、

小鳥遊たかなし 耀よう


鷹がいないと小鳥が遊べるなんて意味の変わった苗字を持ってますけど、そういうあなたは完全に鷹タイプですよね?と悪態をつきたくなる。



そんな、圧倒的な存在感を示す彼を負けじと無視する私は、篠宮しのみや 那央なお


悔しいが完全に小鳥…それも珍しくも何でもない、せいぜい雀タイプといったところだろう。





「人が1番傷つくことって何か知ってる?」


「……」


「無関心。

今なおせんせーは、俺の心をズタズタのボロボロにー…」


「もお、分かったから!」


「ははっ。優しいね、なおせんせーは」





痺れを切らして反応してしまった私に、心底嬉しそうな笑顔を見せる小鳥遊くん。


私は今日も彼に振り回されている。

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