第11話
「じゃあ、この時、葵の上は、どう思ったか築島、答えてみろ」
心地よい眠気が一気に覚めた。
と、同時に自分に当たらなくて良かったと思う。
しかし、築島は、動じることなく、きちんと答えようとしている。
真面目に授業を聞いていたと思われる。
「どう思ったかは、作者じゃないから分からないんですけど、美人薄命ですよね」
築島の答えに、山下は、ぽかーんと口を開けたままでいた。
「築島、俺を困らせる気か?それを言ったら、国語の授業が成り立たなくなるじゃないか」
やっと言葉を発した山下は、困惑していた。
「すみません」
築島は苦笑する。
そして
教室内がざわついた。
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