第48話

桜井さんは、かなりお酒を飲んでいるのに

全く、酔いつぶれそうな雰囲気はなく…


そろそろお開きの時間になりました。


「今日は飲んだ飲んだ」


「桜井は、奢りの時は異様に飲むよね」


「だから、飲み放題にしてくれって言っておいたのに」


「でも、僕と吉田さんは、そんな浴びるようには飲まないし」


「あれ?二人で既に飲みに行ってたのか?」


「うん」


「俺は、てっきり二人で飲んだりしてないと思って

今日は、そういう場を作ったつもりだったんだけど

余計なお世話だったな」


「一応、歓迎会という名目で、社長とは食事したりしてますよ」


「え?歓迎会?」


「僕としては、デートの延長線だったんだけど、

吉田さん的には歓迎会の一環に過ぎなかったみたいで」


そりゃあ、そうですよ。

面接しに来た日に、採用されて

そのあと、すぐ食事なんて、普通は歓迎会って思いません?

しかも、イケメン社長が

10くらい年上の私を相手にするなんて、思いませんよね?

普通は。


社長が、私を異性として見てくれるのは

社長との年齢差を考えると、かなり嬉しいことなんですけど


でも…

やっぱり私には迷いが…

若い女の子の方が社長には似合ってるんじゃないかって…

2,3つ、年上なら問題ないんでしょうけど…


どうしても年齢的なことを

考えてしまうんですよね…



私があともう少し若かったなら

社長の気持ちにも素直に答えられるんでしょうけど…


なかなか…



あ…

また肘が…社長と当たりました。


ドキドキするけれど

むずむずすると言うか…

もどかしくてたまらない気持ちになります。


もう

いっその事

一線超えてしまえばいいんでしょうが

私にはそんな度胸も勇気もなく…


自分が年上の女性の魅力なんてものを

持ってるとは思えないですし…


つまりは、イケメン社長に好かれる自信が

今は全然ないのでした。

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