第40話

「あの…」


表向きは涼し気な顔でいる

僕の心を知らない吉田さんが

降りてくるエレベーターの

表示を見ながら

話かけてくる


「何かありました?」


まさか、今の心の変化、顔に出てたかな…

慌てて僕は、顔を手で覆う。


「ほかの社員の方が

あと二人いるという事でしたけど…

テレワークじゃない日あるんですよね?」


「ええ、まぁ」


社員、他に二名いるということになってるけど

実際は、副業的に働いてもらっていて

名前を借りてるような感じなんだけど…

二人は、実は…


いや、これはまだ言わない方がいい


僕は、それ以上のことは

言わないように

誤魔化すように

笑顔を見せた


「社長は、今日はずっと

事務所にいてくれましたけど、

いつもなら、商談等で

出かけられることも多いんですよね?」


「もうしばらくは、事務所にいるので安心してください」


いきなり、キスとかするような男と一緒に居て

安心してくださいなんて

矛盾してるとは思うけれど…


「お二人のことが、気になってしまって…」


「え?」


「女性と、男性、1名ずつですよね?」


「何か、問題でも?」


女性の方は、とりあえず置いておいて…

もう一人の男性社員を気にしてる?


そうだ

しばらく、二人にはテレワークを

してもらうことにしていたから

安心していたけれど

電話で話すことが

あるかもしれない。


そんな時、彼女に手を出されたりしたら…


その前に手を打っておかなければ。

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