第37話

18時になり

僕はなんとか、仕事を終わらせて

パソコンの電源を落とした。


吉田さんの方に

視線を向けると

丁度、パソコンの電源を落として

机の上の書類等を片付けているところだった。


僕の視線に気付いたのか

彼女と視線が合った。


無言で見つめ合ったのは

どのくらいだろう…


「終わりました?」


「はい、社長も終わらせたんですか?」


「ええ」


さっきの続きがしたくて


なんて言ったら

引かれるだろうと思い

心の中に本音はしまい込んだ。


「吉田さん」


「はい?」


「今日は、一緒に…」


朝までいませんか?


という言葉を

言いそうになり

また飲み込んだ。


好きな女性で

しかも年上の女性のせいか

年下の男子だと

軽くあしらわれたくなくて

ついつい

攻めの姿勢が強くなってしまう。


正直なところを言うと…

10歳上の女性なんてもちろん

今までは年下の女の子としか

付き合ったことがなかった


それも、自分から

積極的に好きになったことなんてなくて…


なので

何処まで積極的になっていいのか

分からない。


「一緒に…?」


「帰りましょうか」


そういうのがやっとだった。


「あ、はい」


ん?

吉田さんの表情は…

何かを期待していた?


「何か、違う事思ってましたか?」


「社長が、途中で言葉を止めるので、

何を話すのかと思ってました」


残念、うまくはぐらかされてしまった。

もしかしたら、彼女だって

僕と一緒に、もう少しいたいと

思ってるのかもしれないのに…


朝までいたいとは

思っていないとしても…

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