第27話

会社の入っているビルに入ると

エレベーターの前に

見たことのある姿が…


わー

社長だ。


やっぱり

遠くから見ても

すぐ分かる。


オーラが違うというか


エレベーターの

近くまで来た私は

エレベーターを待ってる社長の隣を

キープしました。


…ニヤついてしまう…。

それを悟られないように

笑顔で


「おはようございます」


と挨拶しました。


「おはようございます、早いですね」


え?

早い?

早すぎた?


「いつも、この時間なんですか?」


「まぁ、今までは何時に来ても、一人なので…

きまぐれな時間に来てましたね」


「そうですよね…というか、求人票には

10時から就業と書いていたと思うんですけど

私は、10時出社でいいんですよね?」


「あまり早く出社しなくてもいいですよ」


「はい」


私という従業員を一人雇うことで

社長の勤務時間にも影響するんだ…

なんだか申し訳ないような…


「それとも、一緒に出勤します?」


「え?」


ど、どういう意味?

社長、さらっと

なんかまた凄いこと言ってないですか?!


と心の中で思うだけで

私は何も言えなくなってしまいました…


落ち着け

私。


社長は、きっと

一緒に駅で待ち合わせて出勤したほうが

勝手がいいと言いたいだけで


間違っても

朝まで一緒にいて

一緒に出勤するという意味で言ってるわけじゃないんだ。


勘違い、勘違い。

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