第59話

「もう一回言って?」


「一樹、大好きだよ」


そう云って、私は、彼の背中に手をまわして、彼の唇にキスをしました。


初めて、自分から。


「菜月、俺、ほんとに、今日は、セーブきかないと思うから」


「うん、そういう一樹も見てみたい」


彼は、起きあがると、電気を消しました。


雪が光に反射してオレンジ色に染まっていました。



「ほんと綺麗だね」


「今の菜月のほうが、俺には、ずっと綺麗に見える」


「て、照れるんですけどー」


「あー、もう、お前ってどうして、そんなに可愛いんだよ!もう、雪景色なんて、どうでもいいから、俺だけ見てろ」


…あ


この言葉、前もきいた。


俺だけ見てろ


私、このセリフにも弱いんですよ。


「いつも、見てるよ」


「全部、見てろよ」


そう云って、彼は、浴衣の帯をほどきました。


そして、私の帯も…



二人で、生まれたままの姿になりました。



そして、キスを何度も激しくしました。


この辺は、若気の至りということで、仕方ないですね。


「菜月、菜月」


何度も彼が私の名前を呼びます。


私も


「一樹、好き、好き、大好き」


と言い返しました。


そして、私たちは、ひとつになりました。


クリスマスイブになった24日の深夜に。


何度も何度も、体を重ねました。


お互いの愛情っていうものを確かめるように。


強く強く、お互いの体を抱きしめ合いました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る