それは言えない

第16話

先輩とそんなやりとりをしてから


2,3週間経ちました


あの日以来、休講が続いて

サークルのたまり場以外の唯一の接点だった

あの講義で、テストを受けた時隣になったのが最後で


先輩とは、また距離が遠ざかりました



それでも、サークルには顔を出してる私です


先輩は、たまに顔を出してるみたいだけど

すれ違ってるみたいで

ここのところ、姿も見ていません



はぁ

先輩に会いたいなぁ



窓からぼーっと外の景色を眺めながらそんなことを思っていた時



このサークルのまとめ役の山下先輩が突然切り出しました



「明日から、夏休みだよな」


「なーんか、このサークル、サークルらしいこと何もしないで、前期が終わっちゃいますね」


「飲み会も歓迎会の時やった以来してないしな」


「そうですよね、久々に飲み会やらないんですか?」


「そーだな、今日みたいな日はビールでも飲みたいよな」


「ビアガーデンも、オープンしたらしいっすよ」


「じゃあ、今日飲み会開くか」


「やった!」


「今日来てない奴は・・・あ、桜井と吉野か」


「どーします?集合かけますか?」


「とりあえず、声だけかけとくか、のけものにするわけにもいかないしな」



ということで、春以来の飲み会が催されることになりました



春の時は、まだ未成年だったから、堂々とお酒も飲めず、ちょっと悔しかったんですよね



でも、私、香山菜月も先日晴れて、大人の仲間入りです



確か、吉野先輩は、日本酒飲んでたんだよね



一緒に杯とか交わせるかな



そんなにお酒は好きじゃないんですけど

吉野先輩が来るなら

楽しく飲めそうです


とはいえ、まだ先輩が来れるかどうかは、分からないのだけど・・・



「あ、吉野?山下だけど、今大丈夫?何?バイト中?そっか」



バイト・・・中なんだ

吉野先輩


じゃあ、今日は無理かな


夏休みの前に一目会っておきたかったんだけどな・・・



先輩と会えないで、あの長い夏休みを過ごさなきゃならないなんて


山下先輩、吉野先輩のケータイの番号知ってるんだ



いいなぁ


私なんて、サークル仲間の連絡手段として全員のメアドを知ってる程度なのにな




ケータイの番号知ってたら・・・



と考えて、ふと気付きました



電話しても会話続ける自信ないよー




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