異議ありな噂話

第4話

いつものサークルのたまり場に向かうと


このサークルを取り仕切っている、4年生の山下先輩の姿が


「先輩、こんにちはー」


笑顔で挨拶です


「おす、お前も暇だよなー、ほぼ毎日ここに来てねー?」


あきれ顔の山下先輩


「そーかもしれませんねー」


曖昧に笑顔で誤魔化す私


実際、そうなんですけどね


ええ、毎日来てたりします



だって、仕方ないじゃないですか


吉野先輩と学部の違う私が唯一会える場所と言っても過言じゃないんですからね


このたまり場は



「他の人たちは、誰も来てないんですか?」


「一人来てるけど、そこで寝てる」


山下先輩の視線の方向に目をやると

吉野先輩の姿が



神様ありがとうございます

今日もいいものが見れました



と心の中で思っていると


山下先輩が、まじまじと私の顔を見ています


何を言われるのだろうと緊張気味の私


「一度お前に聞きたかったことがあるんだが」


山下先輩は咳払いをひとつして改まった口調で、そう切り出しました



きっと、このサークルにいる理由とかを聞かれるのだろう


と思っていた私に意外な言葉が投げかけられました


「また振られたって聞いたんだけどさ、それって、本当の話?」


「あ、彼氏のことですか?」


「あぁ、これで何人目だ?」


「えーと・・・この大学に入ってから通算してということですか?」


「噂によると、二桁いってるって話だけど…」


「はぃ…」


私の声は小さくなっていました


「香山と知り合ったのは1年前だけど、そんなに性格も悪くは無いし、むしろ人がいいくらいだし」


そうなんです

私、昔から断れないタイプで

この大学に入った時は

そんな自分と決別しよう


そう思って自己改革を試みたものの

このサークルに入ったことにより

挫折


友人の話だと、お嬢様学校出身の私は育ちもよさそうで、女の子らしい性格に見えるみたいです



あと、両親共々美男美女の私は、幸か不幸か、その血を受け継いでしまったようで

実は女子高時代も、他校の男子生徒に告白されたことが多々あります



そして、告白されると相手に悪いなと思い断れない私は、彼氏になってくれた人は数多かったのですが


大概の人に

「友達でいよう」


と言って振られてしまうのです

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