第62話

「今日?唐突すぎるだろ」


「別にそうは思わない。俺、ずっと愛美のこと好きだったから」


「え、えぇ!?」


声を上げたのはまた藍美だった。


その声にも反応せず、双子の2人は対峙していた。


気付くと、ロビーがザワザワとしている。


どうやら注目の的になってしまっているようだった。


「ちょっと、」


と口を挟もうとした時だった。


「はぁー…藍美。ちょっとこいつと話したいからホテルの部屋とっていい?」


「え、あ、うん」


「藍美も、愛美に聞きたいことあるだろ」


「そ、そりゃそうだよ!愛美!一緒に部屋に行こう」


「え!スキンケア用品とか着替えとかないよ!」


「大丈夫!」


急なあきちゃんの提案に焦る。

何かを李人さんに耳打ちしたあきちゃんは、藍美に「後でな」と言って李人さんを連れ、フロントへ向かった。


「今日は寝かさないから!」 


そう言って目をキラキラとさせる藍美。


双子の独特な雰囲気におおのきながら、

藍美に強制的に部屋に連れていかれた。

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