第45話

ダメじゃない。


むしろこんなにかっこいい人。


「私には勿体無いよ」


きっと彼もいつか大切な人を【選ぶ】時がくる。


その時に、私は必要なくなる。


それが怖いのだ。


「そんなことない」


「え」


「俺は、愛美まなみの最後の彼氏になるつもり」


「…!」


「俺は愛美まなみしか好きじゃないし、これからもずっと愛美を好きでいる」


今度は暖かい風が髪を揺らす。


この人はさっきから、目を逸らさない。


色素の薄い綺麗な瞳で真っ直ぐに私を見る。


「し…じて…ぃぃの…」


口から漏れてしまった言葉にハッとして口を押さえる。


「何でもな…!」


「いいよ」


「…!」


目と目が合う。


「信じていいよ」


キスの時、私の頬に触れた左手がまた差し出された。

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