第17話

「ん…?」


噴水の、裏。


整えられた黒髪が揺れている。


ドクン、と心臓が跳ねた。


ー嘘。


こんなところにいるはずがない。


けれど、似ている。


黒いスーツでスマホでどこかに電話をかけている。


「だから大丈夫だって…」


ドクン、と

また心臓がなった。


ーどうして。


その声さえも、彼に似ている。


ベンチからフラフラと立ち上がり、その人のもとへ行こうとした。


ーなんで?どうして?


「あき、ちゃ…ん」

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