第61話

淡い何かはまやかしで、また日常に戻る。


何度も経験してきたことだ。


「はぁ…」


素直になって恋愛できる人が羨ましい。


歩きスマホがダメだと分かっているのにインスタを開いてストーリーを流し見る。


「あ…」


【結婚しました】


お揃いの指輪。


そうだあの子もプロポーズされたと言っていた。


なんでかな。何でこんなにうまくいかないのかな。


世界の中で私が一番不幸なような、

たった1人だけのような、


そんな感覚に陥りながらカフェを目指して力無く歩いて行った。

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