第57話

どうして、


どうしてそんなに優しくしてくれるの?


他に綺麗な人なんていっぱいいるのに。


私じゃなくたっていいじゃない!


胸が苦しい。


「急いでるんですよね。尚更僕が払いますから」


「でも」


「大丈夫ですから」


ピッと伝票をとられてしまった。


急がなきゃいけない。だけどこの人に借りを作りたくない。


頭の中がぐちゃぐちゃになる。


「ー!」


逃げるようにバッグを握りしめて店内を急いで出た。


ドアのところで呼吸を整える。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る